自分らしくいきていくために必要な「自分ダイヤモンド」とは?
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
本当に自分らしく生きるためには、「物」と「心」の両方が揃うことが重要。そう語るのは、『価値ある自分に出会う20の質問 「自分ダイヤモンド」の見つけ方』(豊田祐輔著、現代書林)の著者。ビジネスを通じ、「自分らしく生きたい」という思いを実現するためのサポートを行ってきたという人物です。
「心」の部分は、「物」の土台にあたります。ところが、現代においては、「物」の部分にばかり目を向ける人が多くなってきました。(中略)土台となる「心」の部分をしっかりつくらないまま、「物」の部分のスキルアップばかり求めても、絶対にうまくいかないのは明らかです。(中略)ですから私は、「まず『心』の部分からつくっていかなければ真の成功はできない」ということをお話ししています。(「まえがき」より)
そして、そんな考え方を軸として最初に取り組むべきことは、「自分ダイヤモンド」を見つけることなのだとか。
「自分ダイヤモンド」とは、いわゆる「あなたの軸」を表します。あなたが自分らしく生きていくための指標となるものです。例えると、「自分ダイヤモンド」は、あなたというビルを建てる上での「最初の土台」であり、また今後ビルを高くしていく上での「大黒柱」となるものです。(「まえがき」より)
だとすれば、「自分ダイヤモンド」を探す途中、あるいは見つけたあとに、どのような変化が起こるのでしょうか? その点を確認するために、PART 1「『自分ダイヤモンド』はすでに自分の中にある」に焦点を当ててみたいと思います。
不安におびえなくなる
不安が漠然としたままであったとしたら、それは頭のなかでどんどん大きくなっていくもの。そして、その状態がさらなる不安を呼び込み、どんどん悪循環に陥ってしまうといいます。だからこそ、不安におびえなくなるためには、「なぜ不安になる必要があるのか」という理由に気づく必要があるのだと著者。
「自分はいつからそんな自分になったのか」
「なにが原因でいまの自分になったのか?」
「なぜ、そのような自分になる必要があるのか?」
こうした質問に答えることで、不安の正体を明らかにしていくということ。不安の正体さえわかれば、解決策を考えることができるわけです。すると心に余裕が生まれてきて、落ち着いて行動できるようになるというわけです。(56ページより)
「本当の自分」と「いまの自分」のギャップを客観視できる
「自分ダイヤモンド」が見つかるということは、「本当の自分」が見つかるということ。つまり、「自分が本当はどんな人間として生まれてきたのか」を知るということなのだそうです。そして、それが「自分軸」になるという考え方。
「自分ダイヤモンド」を知っていれば、「いまの自分」と比較することが可能。「自分ダイヤモンド」と、「いまの自分」がしている行動や発言、考え方、心の状態を比較したときに、どのようにずれているのか、そのギャップを客観視できるわけです。そして、そのギャップさえわかってしまえば、あとは「自分ダイヤモンド」に従って進めばいいということ。(58ページより)
自分がどんどん変化していくことを恐れなくなる
「自分ダイヤモンド」が明らかになり、いまの自分とのギャップも明らかになったのなら、そのギャップを埋めるために自分が変化する必要があると著者はいいます。しかし実際には、変化を嫌がる人もいるもので、そういう人には大きく分けて3つのタイプがあるのだそうです。
タイプ1:先が見えないことによる不安がある
タイプ2:変化するためには大変な努力やイヤなことをしなければならないと思い込んでいる
タイプ3:変化はしたいが、変化することでなにかを犠牲にしないといけないと思い込んでいる
(60ページより)
こういうタイプの人たちは、自分が得たいものを得るためには、なにかを犠牲にしなければいけないと思い込んでいるのだとか。そして、変化した先にあるゴールが不明瞭なだけなのだといいます。自分の本当に望むものが見えていないということ。
しかし「自分ダイヤモンド」を持っている人はゴールが明確なので、変化することに抵抗がないのだといいます。むしろ、変化すればするほど「自分ダイヤモンド」が磨かれていくので、変化を恐れる理由がないのだそうです。(59ページより)
「無理だ」と思い込んでいたことにチャレンジできるようになる
新しいチャレンジをしていくなかでは、当然のことながら、うまくいかないことも出てくるもの。しかし、そんなとき「自分ダイヤモンド」を持っていれば、「そんなことは自分にはできない」と勝手に思い込んでいた枠が外れ、チャレンジし、行動することができるようになっていくのだといいます。(63ページより)
モチベーションが高まり、行動力が上がる
「自分ダイヤモンド」が見つかるということは、行動できる自分になっていくということ。そして行動することで、小さな成功体験が積み重なっていくわけです。そして、その小さな成功体験が自分に自信を持たせ、それが「次はどんな成功が待っているのだろうか」「もっとやりたい」という気持ちにつながり、行動がどんどん加速していくのだそうです。
行動してみなければ、なにも変わらないということ。一歩踏み出してみることによって、人生は変わっていくのだと著者は主張しています。(65ページより)
自分が本当にしたいことが見えてくる
「自分ダイヤモンド」が見つかると、それが人生の目的へとつながっていくといいます。「自分ダイヤモンド」は本当の自分だからこそ、他人や世間の影響を受けることなく、「なにをするためにこの世に生まれてきたのか?」という、自分にしかない、独自の「人生の目的」が見えてくるというのです。
人生の目的を持つ人は、責任感を持って生きているもの。なぜなら、自分だけでなく、「まわりの人がよりよくなるためにはどうすればいいか」という使命感を持っているからなのだといいます。(66ページより)
肩肘張らず、本当の自分が出せるようになる
「自分ダイヤモンド」が見つかると、「人からよく見られたい」「嫌われたくない」というように、必死に自分を取り繕って、無理していた自分に気づくことが可能。「どれだけ自分を大切にしてこなかったか」ということに気づくからこそ、「本当の自分」で生きていくことがどんなに素晴らしいことなのかを実感できるというのです。
「自分軸」が不明確だと、世間一般に認められている自分になろうと一生懸命になるもの。しかし「自分軸」が明確になると、その必要がなくなり、体が軽くなったような気持ちになるというのです。(68ページより)
賛同者、応援者が増える
「自分ダイヤモンド」を持っている人には、応援してくれる仲間や協力者、賛同者が多いもの。なぜなら彼らは会う人たちに、「こんなことをやりたいんです」「こんな人生を生きたいんです」という話をするからなのだそうです。そのピュアな気持ちに共感し、賛同し、応援してくれる人が増えるということ。(72ページより)
人に影響を与え、どんどん人が集まってくる
「自分ダイヤモンド」を持っている人は、人生の目的を生きているので、ワクワクしながらどんどん行動していくもの。それは誰しもが憧れる姿なので、その輝きに惹かれた人が集まってくるといいます。そして、「自分ダイヤモンド」を持った自分を中心として、前向きに生きようとする人たちの話ができていくということ。(72ページより)
自分が想像していた以上の成功が手に入る
「自分ダイヤモンド」を持つとさまざまな成果が出て、どんどん自分の理想に近づいていくそうです。なぜなら「自分ダイヤモンド」を持つことによって、絶えず変化し、成長し続けることができるから。ダイヤモンドが磨かれて輝きを増すように、「自分ダイヤモンド」もどんどん磨かれ、輝いていくということ。(74ページより)
こうした考え方を軸として、以後の章には20種にもおよぶ質問が用意されています。それらに答えていくことによって、「自分ダイヤモンド」を見つけることができるというわけです。もしかしたら、試してみるだけの価値はあるかもしれません。
(印南敦史)