『永平寺の四季』
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神奈川大学生協書籍部「禅寺の息遣いが感じられるような一冊」【書店員レビュー】
[レビュアー] 神奈川大学生協書籍部
日本曹洞宗の大本山は福井県の永平寺に安居して、役寮にあった著者が綴る、「中から見た永平寺」ドキュメンタリーともいうべき一冊である。様々な書誌に投じられた著者の随筆を、四季それぞれをテーマに再構成した内容となっている。
厳しい、時に苦行じみた趣さえ感じさせるいわゆる「修行記」と異なり、著者は役寮という若干高い位置から永平寺の四季折々を我々に伝えてくれる。そこには、我々がイメージするよりもはるかに人間らしい、純粋さすら感じられるような雲水の人間模様や、それを見守る七堂伽藍の佇まいが見て取れるようである。他方で修行や寺院の在り方を案ずる著者の所論は時として、まるで警策のように我々の生き方在り方を問うてくるように感じる。
…と書くと、一見堅苦しそうに思われてしまうかもしれないが、文体はつとめて平易であり、各節が丁度よい長さに区切られていて気軽に読む事ができる。お寺やお坊さんに興味がある人にはぜひ手に取って頂きたい一冊。