『ここまで変わった日本史教科書』 高橋秀樹、三谷芳幸、村瀬信一著

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ここまで変わった日本史教科書

『ここまで変わった日本史教科書』

著者
高橋秀樹 [著]/三谷芳幸 [著]/村瀬信一 [著]
出版社
吉川弘文館
ISBN
9784642082990
発売日
2016/08/25
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『ここまで変わった日本史教科書』 高橋秀樹、三谷芳幸、村瀬信一著

[レビュアー] 清水克行(日本史学者・明治大教授)

あなたの教養は古い?

 あなたの実年齢がわかるクイズを一つ。次の日本史用語は同じ事柄・人物を表すものである。より馴染(なじ)みのあるのは、どちらだろうか?

(1)A縄文式土器 B縄文土器

(2)A大和朝廷 Bヤマト政権

(3)A聖徳太子 B厩戸皇子

(4)A北条早雲 B伊勢宗瑞

(5)A安藤広重 B歌川広重

 多くをAと答えた方、その方はきっと40歳代後半以上の年齢に違いない。Aは1980年代の高校日本史教科書に載っていた用語。現在の教科書では同じ事柄・人物をBのように表記することが多くなっている。日本史教科書の内容も年々変化している。恐るべし。いくら若作りして誤魔化しても、歳(とし)はこうしたところからバレてしまうのだ。

 本書は、ここ30年の日本史教科書の変化と、その理由を文部科学省の現職・前職の教科書調査官が時代ごとに簡潔に解説してくれている本。

 このての「じつは××はウソだった!」式の話題は、最近ではバラエティー番組などでも採り上げられることが多くなったし、類書も多い。ただ、専門家の立場から言わせてもらえば、それらのなかには問題のあるものも少なくない。なぜそのように通説が変化したのか、の説明が不十分であったり、そもそもそこで論(あげつら)われている「かつての通説」が遥(はる)か大昔の学説だったりするのだ。

 先日も居酒屋で「鎌倉幕府ができたのは1192年じゃなくて1185年なんだぞ」とウンチク自慢をしていたお父さんを見かけたが、残念! 鎌倉幕府の成立年は、本書が解説するとおり「段階的に成立したので、断定できない」と答えるのが、現在では最も正しい理解なのだ。

 最近の若いヤツは教養が足りない、なんてボヤいているうちに、あなたの「教養」のほうが古くなってはいないだろうか? そんなあなたの脳みそのアンチエイジングのためにも、安心してオススメできるのが本書である。

 ◇たかはし・ひでき=文科省教科書調査官

 ◇みたに・よしゆき=筑波大准教授

 ◇むらせ・しんいち=同省主任教科書調査官。

 吉川弘文館 1800円

読売新聞
2016年10月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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