『ビジュアル版 世界の歴史都市』 ジョン・ジュリアス・ノーウィッチ編

レビュー

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『ビジュアル版 世界の歴史都市』 ジョン・ジュリアス・ノーウィッチ編

[レビュアー] 出口治明(ライフネット生命保険会長)

 本書は文字が発明されてからの人間の5000年の営みの中で、世界最古の都市ウルクから上海に至る70の歴史の都を選んで紹介したものである。日本からは京都と東京が選ばれている。

 完全な廃墟(はいきょ)と化したモヘンジョ=ダロ(インダス文明)やハットゥシャ(ヒッタイト)、古代から連綿と生き続けるアテネやエルサレム、ローマ。一般には紹介されることが少ないメロエ(ヌビア)やティカル(マヤ)など、ページをめくる度に歴史の驚異の都が美しい図版で次々に姿を現す。

 添えられた専門家の達意の文章は、当時の人々の生活や夢を眼前に蘇(よみがえ)らせる。ティグリス川で楽しそうに泳ぐ人や魚を描いたバグダードの絵図、まるで魔法の国のようだ。どのページも歴史を牽引(けんいん)した都の栄枯盛衰をコンパクトにまとめていておよそ飽きることがない。福井正子訳。

 柊風舎 1万5000円

読売新聞
2016年10月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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