伊賀大介は『コレ、嘘みたいやけど、全部ホンマの話やねん』にタイトルが潔すぎて読む前からツッコんでしまった

レビュー

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伊賀大介は『コレ、嘘みたいやけど、全部ホンマの話やねん』にタイトルが潔すぎて読む前からツッコんでしまった

[レビュアー] 伊賀大介

igadaisuke

 そろそろ「不惑」の二文字が近づいてきた今日この頃(って事は、村田兆治、門田、佐藤義など昭和パ・リーグの大ベテラン達と変わらないって事だ。うーむ)、真に沁み入るフレーズは「事実は小説よりも奇なり」に尽きる。ホントに!!!
 自分の身の周り各々の人間模様を思ってみたり、山田風太郎による最強の厠本『人間臨終図鑑』を読んだり(メンデルスゾーン年下!!)、様々な人物や事象のノンフィクションや、自伝・評伝を手当たり次第読み漁り(最近だとヤマトを創った男・西崎義展とか)、『トランボ』『リリーのすべて』『イミテーション・ゲーム』など、新作ハリウッド映画を観たりしても、湯水の様に湧き出る新事実たち!!
「おお事実! なんでそんなお前は訳が解らなくて、面白いのだ!!」
 と、モノ作りの空想現実に生きているコチラとしては困ってしまう事もしばしば。
(因みに最近、結構な本読み達の間で「若い頃は小説一本だったけど、30半ばから読むのノンフィクションばっかり」って人、多くないすか? これは一体何という現象?)
 そんな「事実」に囚われがちな筆者が最近読んで膝を打ったのが、ワハハ本舗所属の売れない芸人(失礼。しかし本人談!)である、コラアゲンはいごうまん氏の新刊『コレ、嘘みたいやけど、全部ホンマの話やねん』という!! 見事にタイトルで全てを語っている、潔いにも程があんだろ!! という一冊。
“体当たり芸人のノンフィクション漫談”と、表紙にも記してある通り、その体験取材のハードさ、下らなさは多岐に富みまくっており、取材先も北海道の自衛隊員、伝説の刺青師たち、福岡ホームレスに弟子入り、新潟の刑務所慰問、そしてあの! 沢マンこと高知の沢田マンション!! など、普通の生活をしてたら、おそらく出会えないコクのある人々や業界の話など、興味をそそらずにはいられない実録取材が小ネタ合わせて全29編!!(というか29事実!!)
 勿論コラアゲン氏、全てはライブでのネタの為に! と、対象がいかに笑えるか、ヒキがあるか、と山っ気たっぷりで潜入していきますが(心の機微が全部書いてあるのがチャーミング!)、どのネタでも取材を進める度に、詰まる所人間同士の付き合いになってしまうトコが、筆者の人柄を超えた「事実」のオモロいトコだと思わされた次第。
 普段、物語や創作に触れれば触れるほど「あんなんありえねーよ」とか直ぐ思ってしまいがちになってたな、と軽く目ウロコな逸品でした。
 そーいや、ちと脱線しますが現在世界最強、いや最狂な「事実」はメキシコ麻薬戦争モノである事に異論はない筈。映画『ボーダーライン』『カルテル・ランド』も、NETFLIXドラマ『ナルコス』も、ノンフィクション本『メキシコ麻薬戦争』も、想像を絶する世界が繰り広げられており、その事実に「ヤベーよ!」といって喜んでいる自分にも自戒の念を込めつつ、また再びコラアゲンさんの新ネタにも期待したいのである。
 よし、とりあえず森達也新作『FAKE』観に行くか!!

 ***

『コレ、嘘みたいやけど全部ホンマの話やねん。』
実録・体験ノンフィクション漫談芸人・コラアゲンはいごうまんが全国を行脚して集めた、笑って泣ける壮絶実話の数々を収録。幻冬舎。1512円

太田出版 ケトル
VOL.31 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

太田出版

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