疲れやすい人はラーメンを選ぶ? 「元気な人」になるための食事法

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疲れやすい人はラーメンを選ぶ? 「元気な人」になるための食事法

[レビュアー] 印南敦史

疲労回復のベースとなるのは、健康の3原則である「運動」「栄養」「睡眠」の3つのバランスがうまくとれていること。そう主張するのは、『疲れやすい人の食事 いつも元気な人の食事』(柴崎真木著、クロスメディア・パブリッシング)の著者です。このバランスをないがしろにしたのでは、どんなによいといわれる疲労回復法を取り入れたとしても十分な効果を得ることはできないというのです。

そこで本書では、「運動」「栄養」「睡眠」のなかの特に栄養、すなわち食事に重点を置いているのだそうです。ただし当然ながら、食べ方のバランスは大切。

いくらよい食べ方を実践していても、食べる物が偏っていては元気になれません。また、逆にいくら良質な物を食べていても、食べ方が悪ければかえって身体に負担をかけてしまうこともあります。そういった疲れやすい人がよくしている食事パターンの事例とともに、いつも元気な人になるためにはどのように改善していけばよいかをこの本を通じてお伝えできたらと思います。(「はじめに」より)

疲れやすい人と元気な人との差を確認するため、第1章「疲れやすい人の食べ物 いつも元気な人の食べ物」から要点を抜き出してみたいと思います。

疲れやすい人は主食を減らす 元気な人は雑穀ごはんを食べている

疲れやすい人の多くは「エネルギー不足」だと著者は指摘します。エネルギーがなければ、身体を動かすことができないのは当然の話。そして、エネルギー源となる栄養素はおもに炭水化物だというのです。

ごはんやパン、麺類、果物、砂糖、お菓子やジュースに含まれている炭水化物は、エネルギー源となる栄養素のひとつ。最近は体重を減らすために炭水化物を減らすという人も少なくありませんが、元気よく過ごすためには、活動量に見合ったエネルギーを適切なエネルギー源からとれていることが必要だということ。

車にガソリンがないと動かないのと同じで、人間にもガソリンのようなものが必要。そのひとつが炭水化物だということです。つまり、いつも疲れている人はエネルギーが不足していることが疑われるわけです。

人はストレスがかかると、エネルギーを多く使います。ストレスが多いときに食べ過ぎてしまうのは、ストレスに対抗するために身体がエネルギーを欲しているのです。そのときに適切なエネルギー補給をしないとますます疲れがたまってしまいます。(24ページより)

適切なエネルギー源とは炭水化物のことですが、ここで炭水化物と糖質の違いを知っておくことが重要だと著者。炭水化物とは、体内で消化吸収されエネルギー源となる糖質と、ヒトの消化酵素では消化されにくく、エネルギーとしてほとんど利用できない食物繊維で構成されているのだそうです。つまり「炭水化物=糖質+食物繊維」だということ。

少し専門的な話になりますが、糖質は、分子が1つの単糖類、単糖類が2つつながった二糖類、単糖類がたくさんつながった多糖類に分類され、「単糖類>二糖類>多糖類」の順に吸収されるスピードが速くなるのだとか。

ちなみに代表的な単糖類はブドウ糖で、砂糖に含まれるショ糖や乳製品に含まれる乳糖は二糖類、ごはんやパンなどの穀類に含まれるデンプンは多糖類。食物繊維はエネルギー源にはならないものの、糖質や脂肪の吸収を抑えたり、腸内の有害物質の排出を助けたり、生活習慣病予防や便秘の解消などに役立つそうです。

ごはんやパンなどの穀類には、ゆっくり吸収される多糖類と、糖質の吸収を穏やかにする食物繊維の働きによって、血糖値をゆっくり上げる効果が。またエネルギーも持続しやすいため、食べると疲労感を感じにくくなるのだといいます。

一方、砂糖を使ったお菓子やジュース、菓子パンなどは血糖値を急激に上げるため、それを下げようとするホルモン(インスリン)が分泌されて一気に血糖値が下がるのだそうです。そのためエネルギーが持続しにくく、疲労感が出やすいということ。

疲れやすい人は、糖質が多く、食物繊維の少ない炭水化物を選んでいます。お菓子や菓子パンを食事代わりにしてしまうことが多く、食パンでも、ふわふわのやわらかいパンにジャムやはちみつをたっぷりぬったものを食べているパターンが多いようです。(中略)反対に、いつも元気で疲れにくい人は、食物繊維が多く含まれる炭水化物を選んでいます。ごはんでも雑穀や玄米などを混ぜたごはんを食べている人が多いです。雑穀や玄米は白米より食物繊維も多く、血糖値が緩やかに上がり、エネルギーが持続しやすいのです。(26ページより)

なお炭水化物をエネルギーにするためには、おもにビタミンB1やB2、ナイアシンなどのビタミンB群が必要。これらのビタミンが不足している人は、体内で炭水化物をエネルギーにしにくいのだといいます。

ごはんやパンなどの穀類は糖質だけでなく、食物繊維、ビタミン、ミネラルを含んでいますが、砂糖は糖質以外の栄養素はほとんど含んでいないのだとか。一方、雑穀や玄米は白米にくらべるとビタミンB群が多いため、体内のエネルギー効率がよくなるのだといいます。逆に砂糖をたくさんとると、体内のビタミンB群を消耗してしまうため疲れやすくなるのだそうです。

そこで元気でいるためには、主食ひとつで長持ちするエネルギー源と、それをうまく体内で活用する栄養素を一緒にとれるものを選ぶべき。パンよりごはんがオススメだそうですが、パンが好きなら食物繊維やビタミンB群が含まれているライ麦パンや胚芽パンを選ぶといいと著者は解説しています。(22ページより)

疲れやすい人はラーメンを選ぶ 元気な人は月見そばを選ぶ

ラーメンは麺がメインであるため炭水化物が多く、野菜のビタミンや肉などのたんぱく質が不足しがち。ライスや餃子とセットにして食べると、炭水化物量はさらに増えることになります。

だから、麺類を単品で食べると、ビタミンB1やB2などのビタミンB群が少なくなり、炭水化物をエネルギー源に変えることができなくなり、疲労感を感じやすくなることに。しかもラーメンは脂肪が多く、消化に時間がかかることも問題。

また食後は消化のため胃腸に血液が集まり、他の組織への血流量が少なくなるのだそうです。結果、脳の血流量も少なくなり、酸素不足になってボーッとしてしまうというのです。そのため消化に時間がかかるラーメンを昼食に食べると、胃腸に血液が集中する時間が長くなり、午後の眠気を誘う要因になるわけです。

午後にたえられない眠気がしょっちゅうある人は、昼食がラーメン、うどん、パスタなどの麺だけの食事にならないように、また麺類ではありませんが、どんぶりものや菓子パンだけで済ませたりしないようにすることで、午後のパフォーマンスが向上するようになるでしょう。(31ページより)

その点、食物繊維が多いだけでなく、炭水化物をエネルギーに変換するために必要なビタミンB1やB2も多く含まれているのがそば。なお卵を加えた月見そばであれば、卵に含まれるたんぱく質が血糖値の上昇をも緩やかにしてくれるそうです。また卵はビタミンB1やB2も含んでいるので、エネルギー効率がますますよくなることに。さらに、ビタミンB1の吸収を助けるアリシンを多く含むねぎをたっぷり加えれば、さらに効果的だといいます。(29ページより)

疲れやすい人は野菜ジュースを飲んでいる 元気な人は野菜を食べている

野菜ジュースではβ-カロチンという免疫力や視力に関わるビタミンをとれるものの、ビタミンCはあまり含まれていないそうです。ビタミンCはコルチゾールという抗ストレスホルモンの生成に関わっているため、ストレスの多い人は体内でビタミンCの消費が多くなります。しかし野菜の代わりに野菜ジュースを飲んでいる人は、ビタミンCの摂取が十分でなくなり、朝起きるのがつらいなど、不調に陥りやすくなるといいます。

さらに野菜ジュースは噛んで食べる野菜とは異なり、満足感を得にくいことも、カロリーオーバーを招く要因になります。(56ページより)

そこで外食ではサラダやおひたし、煮物を頼むようにしたり、コンビニでもスティックサラダや浅漬けなどを買うようにすべきだと著者は提案しています。飲む野菜よりも食べる野菜をとるようにし、どうしても取れ得ない場合に野菜ジュースを利用するようにすればいいというわけです。(53ページより)

著者は、スポーツの現場で働く管理栄養士として、多くのアスリートのサポートをしているという人物。そこから得たノウハウがベースになっているだけに、本書の内容にも相応の説得力があります。

(印南敦史)

メディアジーン lifehacker
2016年11月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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