『純情ヨーロッパ 呑んで、祈って、脱いでみて』『人情ヨーロッパ 人生、ゆるして、ゆるされて』 たかのてるこ著

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純情ヨーロッパ 呑んで、祈って、脱いでみて

『純情ヨーロッパ 呑んで、祈って、脱いでみて』

著者
たかの てるこ [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
歴史・地理/旅行
ISBN
9784478049501
発売日
2016/10/01
価格
1,382円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

人情ヨーロッパ 人生、ゆるして、ゆるされて

『人情ヨーロッパ 人生、ゆるして、ゆるされて』

著者
たかの てるこ [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
歴史・地理/旅行
ISBN
9784478049518
発売日
2016/10/08
価格
1,490円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『純情ヨーロッパ 呑んで、祈って、脱いでみて』『人情ヨーロッパ 人生、ゆるして、ゆるされて』 たかのてるこ著

[レビュアー] 岡ノ谷一夫(生物心理学者・東京大教授)

笑顔で自由な旅人に

 インドに行ったとき僕は、勇気が足らなくてガンジス河でバタフライできなかった。そもそも泳ぎもしなかった。この点で、たかのてるこには劣等感を持っている。しかし今度は欧州だ。僕も欧州鉄道旅を何度かしたことがある。欧州鉄道の時刻表調べるのは楽しいぞ。スペインのフィゲラスから夜行列車でパリに行ったなあ。

 ところがこの人の旅はそんなもんじゃない。21か国、2か月の旅だ。西欧・北欧編、行く先々ですぐに猥談(わいだん)を仕向けられ、ビールを注がれるこの力は何だ。その勢いで4番目の国ドイツで早くも「これでいいのだ」というバカボン親父(おやじ)の悟りを開き、パリで下ネタ三昧の後、マリア信仰聖地ルルドで再び悟り、ポルトガルでまた下ネタ、フランス戻ってヌーディストビーチにデビュー。このあたり詳細は本を買ってね。

 バチカンに寄って中欧・東欧編です。スイスで命がけのスポーツ、チェコで人形作りの夢に挫折し、ハンガリーで露天風呂、スロベニアで鍾乳洞と冒険が続くが、クロアチアでは本気で恋に落ちる。人を愛して泣いて、ボスニア・ヘルツェゴビナで28メートルのダイビングに挑むが…。ここから先も本を買って読んでくれ、たかのてるこがなぜヨーロッパに来たのかを。そんなこんながありまして、イスタンブールのハンマムで垢(あか)を落とす。文章もいいが、写真もいい。みんな笑顔だ。おっと著者のスクール水着は見なかったことにしておこう。これでいいのだ。

 21か国、2か月では旅行者であり、旅人にはなれまい。僕は半信半疑だった。だがこの人は完全に旅人になっている。なぜだ。この人が持っていった重さがあったからだ。欧州はこの人にとって鬼門だった。前世、パリで処刑されたと信じていたのだ。でもあえて鬼門に行く事で、ほんとうの心の傷からこの人は自由になれたようだ。こんにちは・ありがとう・さようならの3語だけ現地の言葉を覚えれば仲良くなるのは早い。世界と肌触れ合う旅に出ようぜ。

 ◇たかのてるこ=旅人。18年間テレビプロデューサーを務め独立。著書に『ガンジス河でバタフライ』。

 ダイヤモンド・ビッグ社 1280円

 ダイヤモンド・ビッグ社 1380円

読売新聞
2016年11月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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