“仕事に効く世界史”続編 教材は過去にしかない!

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仕事に効く教養としての「世界史」Ⅱ  戦争と宗教と、そして21世紀はどこへ向かうのか?

『仕事に効く教養としての「世界史」Ⅱ  戦争と宗教と、そして21世紀はどこへ向かうのか?』

著者
出口治明 [著]
出版社
祥伝社
ジャンル
歴史・地理/歴史総記
ISBN
9784396615772
発売日
2016/10/01
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

「世界史ブーム」を作った大ヒット作の続編登場!

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

 累計部数が10万部を超えた『仕事に効く 教養としての「世界史」』の第二弾『仕事に効く 教養としての「世界史」Ⅱ』(ともに祥伝社)が発売された。前著同様、知的好奇心をくすぐられる作品だ。著者はライフネット生命保険株式会社会長の出口治明。ビジネス書では『部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書』(KADOKAWA)というマネジメントの名著をだし、歴史の本でも『「全世界史」講義 教養に効く!人類5000年史 Ⅰ〜Ⅱ』(新潮社)という素晴らしい作品を出版している知の巨人である。

「将来、何が起こるかは誰にもわからないけれど、悲しいかな、教材は過去にしかない」という著者の考えのもと、前著では取り上げなかったイスラム世界、インド、エジプト、ラテンアメリカ、アフリカの歴史に加え、日本の文化に大きな影響を与えた中国の唐宋革命と、ドイツの歴史、そして21世紀の世界はどこに向かうのかといったことを語った本である。

 この本を読んで強く意識させられるのは、歴史というものは常に勝者が作ってきたものであるということだ。ルネサンス以後、ヨーロッパがアジアやアフリカを植民地として支配してきた。それ故に世界の中心はずっとヨーロッパにあったかのような印象を受ける。しかし実際のところ、世界の中心はずっとアジアや中東にあり、中国にいたってはヨーロッパのはるか先をいく文明を築いていた。アフリカもヨーロッパに何もなかった頃から文明が栄えていたのだ。

 また歴史というのは個別に存在するものではなく、皆つながっているということも意識させられる。もちろん日本の歴史も例外ではない。鎌倉時代の元寇や、戦国時代、種子島に鉄砲が伝来したのも、世界の歴史を知ることで、なぜそのようなことがその時期に起きたのかが一目瞭然になる。

 この本には仕事に使えるような具体的なノウハウは書かれていない。しかし歴史を知ることで、ビジネスに使える大局観を磨くことができるようになるだろう。なにより歴史っておもしろいな。そう思わせてくれる一冊である。

新潮社 週刊新潮
2016年11月17日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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