【話題の本】『「できる人」が会社を滅ぼす』柴田昌治著

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「できる人」が会社を滅ぼす

『「できる人」が会社を滅ぼす』

著者
柴田昌治 [著]
出版社
PHP研究所
ISBN
9784569831886
発売日
2016/10/04
価格
1,540円(税込)

【話題の本】『「できる人」が会社を滅ぼす』柴田昌治著

[レビュアー] 産経新聞社

 ■考える力を喪失しないために

 なんとも刺激的なタイトル。内容もぴりっとして小気味よい。

 毎日、夜遅くまで残業し、大量の仕事をこなし、数値目標だけを達成しようという中間管理職。著者は彼らを「昭和の時代に優秀な社員」として、仕事をさばくのがうまいだけの、みせかけの「できる人」だという。彼らに欠けてしまったのが、仕事の意味や目的、価値を問う「考える力」だと指摘する。新しい価値を生み出さないために、会社が衰退し、生き残れなくなってしまうというのだ。

 著者は東大大学院在学中に、ドイツ語学院ハイデルベルクを起業した異色の人物。その後、30年以上にわたり、企業の再生のための組織風土改革に取り組んできただけに説得力がある。自身の経験を生かし、会社や社員を元気にさせようと手厳しいことを説いているのが本書である。

 10月に発売され、オフィス街に近い八重洲ブックセンター本店(東京都中央区)の週間ベストセラー(総合)で1位にもなった。担当編集者は「善としていたものが完全否定されている。中間管理職は日々の仕事が大変。柴田さんの考えはレベルが高い」と話す。購読者はやはり、中間管理職が多いという。(PHP研究所・1400円+税)

産経新聞
2016年11月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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