歴代ボンドのガンマン度を査定!ガンアクション専門の映画ガイド

レビュー

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マニアならずとも圧倒!“ピストル番長”の集大成

[レビュアー] 若林踏(書評家)

 平成ゴジラVSシリーズのメカデザインを手がけたイラストレーターであり、銃器映画の研究家である著者による、ガンアクション専門の映画ガイドブックだ。雑誌『映画秘宝』連載のコラム「珍銃狩り」を中心に、銃撃戦映画のレビュー・論考を収録する。“ピストル番長”の異名を持つ著者の集大成である。

 銃器の蘊蓄だけにこだわったカタログ本のように思われるかもしれないが、さにあらず。冒頭にある「コンバット・シューティング映画の軌跡」では六〇年代のアメリカTVドラマ「FBI」を起点に、五〇年に及ぶ銃撃戦映画の変遷と重要作品を二〇頁に亘って総ざらい。実戦に対応した拳銃による射撃法=コンバット・シューティングを取り入れた映画・ドラマは何か、という切り口から繰り広げられる著者の歴史考は、情報量と銃撃戦映画への熱意にマニアでなくとも圧倒されるガイドである。一見、おちゃらけたポリスアクションであるエディ・マーフィ主演の「ビバリーヒルズ・コップ」も、銃の扱い方はコンバット・シューティングの観点から見れば極めてリアル志向である、と論じるなど、銃を構えるしぐさ一つを分析するだけでも映画の楽しみ方は変わるものだと、目から鱗の気分だ。

 二〇〇一年〜一〇年公開の十年分に及ぶ新作銃撃戦映画の時評はもちろん、必読は「マカロニ・ウエスタン珍銃列伝」と「ボンド映画の名銃たち」というコラムである。前者はマカロニ・ウエスタンに登場する架空の銃を紹介。ミシンと銃が合体した「ミシンガン」など、珍銃目当てだけで映画を観たくなることは必至だ。後者は歴代のジェームズ・ボンド俳優をガンマン度で査定する、ありそうで意外と見当たらないボンド映画論。以前、著者のボンド映画談義を直に聞き、その見識と深い愛情に感銘を受けた記憶があるのだが、その感動は活字になっても変わらなかった。次作はぜひボンド映画研究本をお願いしたい。

新潮社 週刊新潮
2016年12月1日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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