スポーツ・ノンフィクションの傑作

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スポーツ・ノンフィクションの傑作

[レビュアー] 図書新聞

 2001年に文藝春秋から単行本が刊行され、翌年の「ナンバーが選ぶスポーツ・ノンフィクション」で第一位、そして第十二回「ミズノスポーツライター賞」を受賞した傑作が、新たに文庫となって刊行された。日本のラグビーを幾度も危地から救い、戦後ラグビー界伝説の指導者となった男・大西鐵之祐。その七十九年の生涯を描き「闘争の倫理」を浮かび上がらせる。版元の鉄筆はこれまでに大西の『闘争の倫理』を文庫化し、藤島大によるラグビーエッセイ選集『人類のためだ。』を刊行している。こんな時代だからこそ、「戦争をしないために、ラグビーをするのだ!」と説いた大西鐵之祐の反戦思想を広く世に問おうとする明確な意思を感じる。熱い思いの込められた一冊だ。(10・28刊、三八四頁・本体一〇〇〇円・鉄筆文庫)

図書新聞
2016年11月5日号(3277号) 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

図書新聞

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