【話題の本】『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』

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【話題の本】『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』

[レビュアー] 産経新聞社

 ■「文庫X」覆面で60部→18万部

 〈読んで心が動かされない人はいない、と固く信じています。500Pを超える本です。怯(ひる)む気持ちは分かります(中略)それでも僕は、この本をあなたに読んで欲しいのです〉

 そんな手書き文字を記したカバーで書名や著者を隠した異色の覆面販売が話題になっていた「文庫X」。その中身が清水潔著『殺人犯はそこにいる』(新潮文庫)だったことが9日、公表された。

 「文庫X」は、さわや書店フェザン店(盛岡市)の文庫担当、長江貴士さんが仕掛け人。硬派なノンフィクションをなんとかして読んでもらいたいと考案したのが覆面販売。7月に同店で始めたフェアが口コミで話題になり、大手書店なども参加して、全国各地で同じ方式での販売が広がった。新潮社によると9月から重版がかかりはじめ、12月初旬現在で累計18万部のヒット作となっている。

 「最初は60冊仕入れて、時間がかかっても30冊は売ろうと思って始めたんです。18万部と聞いても信じられません」と長江さん。

 敬意を表して、あえて内容は紹介しないでおこう。新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞受賞作。私は買ったその日に読み切った。(清水潔著/新潮文庫・750円+税)

産経新聞
2016年12月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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