• あなたが世界のためにできるたったひとつのこと : 〈効果的な利他主義〉のすすめ
  • より少ない生き方 ものを手放して豊かになる
  • だし生活、はじめました。
  • リセット : Google流最高の自分を引き出す5つの方法
  • やり抜く力 : 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

書籍情報:openBD

ライフハッカー[日本版]の書評家が選ぶ、2016年の名著10選+α

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

ライフハッカー[日本版]での書評がスタートしたのは、2012年8月のこと。つまり、もうかれこれ4年4カ月も続いていることになります。

ニュースサイトという性格上、一般的な書評のように私見や主観を絡めず、できる限り「紹介」に徹してきました。その姿勢は今後も変わりませんが、毎年、なんらかのインパクトがある書籍が記憶に残るのは事実。

そこで昨年に引き続き、今年も年間のベスト10+αをチョイスしてみました。

10位:『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』(三枝成彰著、SB新書)

73歳にしていまなお最前線で活躍する作曲家が、30年にわたって続けているという「1日1食」のライフサイクルの効能を説いた新書。ちょっと極端に思える部分(それもまたいい味)も含め、強烈なインパクトを投げかけてくれます。

9位:『7人のトップ起業家と28冊のビジネス名著に学ぶ起業の教科書』(大賀康史、苅田明史著、ソシム)

本の要約サイト「フライヤー」創始者が、起業についての考え方を記した書籍。実体験に基づいた生々しい筆致は、ただ起業のすばらしさばかりをアピールする類書にはない説得力があります。

8位:『世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる』(久賀谷 亮著、ダイヤモンド社)

ロサンゼルスでクリニックを営む日本人精神科医が、脳を休める方法をわかりやすく解説した作品。広く話題となっている「マインドフルネス」の入門書的に読むことも可能。疲れているなと感じたら、呼んでみる価値ありです。

7位:『「やさしさ」という技術――賢い利己主義者になるための7講』(ステファン・アインホルン著、池上明子訳、飛鳥新社)

スウェーデンのがん専門医であり、倫理についての講演の盟主としても知られる著者が、思いやりややさしさの価値を訴えかけた書籍。その軸になっているのは、見返りを求めない行為の重要性です。

6位:『ひと月1万円! 体にやさしい 昭和のシンプル食生活』(永山久夫著、CCCメディアハウス)

売れない漫画家として「ビンボー暮らし」をしてきた85歳の著者が、昭和の質素な食生活の重要性を説いた1冊。レシピが中心ですが、あくまでも明るく前向きな姿勢には痛快な魅力があります。

5位:『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳、ダイヤモンド社)

心理学者である著者は、成功するために大切なのは「やり抜く力」だと断言しています。やり抜く力を伸ばすことによって、可能性を大きく延ばせるということ。「才能」よりも「努力」だとする考え方には、共感できるものがありました。

4位:『リセット ~Google流 最高の自分を引き出す5つの方法~』(ゴーピ・カライル著、白川部君江訳、あさ出版)

インドの貧しい稲作農家に生まれ育ち、グーグルのエバンジェリストとして活躍する著者が主張するのは、「インナーネット(inner-net)」の重要性。つまり脳と体、心、呼吸、意識の集合体こそが大きな意味を持つということです。

3位:『だし生活、はじめました。』(梅津有希子著、祥伝社)

ひょんなことから「だし」をとる生活をはじめたライターが、生活や気持ちの変化などをつづった作品。だしをとるだけで食生活が大きく向上することを、強く実感できました。その結果、我が家でも鰹節削り器を導入。現在も「だし生活」を続けています。

2位:『より少ない生き方 ものを手放して豊かになる』(ジョシュア・ベッカー著、桜田直美訳)

ものを手放すことで人生が好転したと断言する、ミニマリズム運動の先駆者による著作。ミニマリズムには「家具のない部屋で床に座る」というようなイメージがありますが、決して苦行ではなく、むしろ自由であるという考え方には共感できるものがありました。

1位:『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと―のすすめ』(ピーター・シンガー著、関美和訳、NHK出版)

7位の『「やさしさ」という技術――賢い利己主義者になるための7講』にも少し似た部分がありますが、こちらは「世界のため、人のためにできることをする──利他主義」の重要性を説いた書籍。紹介される利他主義者たちのライフスタイルや、そこに絡みつく悩みなどは、忘れかけていた大切なことを思い出させてくれます。

社会が排他的になっている一方に、こうした動きがあることを知っておくこと、そして「自分になにができるか」を考えてみることは、とても重要だと思います。なお発行は2015年12月20日だったのですが、3月11日にご紹介したためご紹介することにしました。

+α:遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣(印南敦史著、ダイヤモンド社)

さて、ランキング内に組み込むのはさすがに気が引けるのですが、とはいえ僕の著作もぜひご紹介させてください。おかげさまで3万部超のヒットとなった、速読術の類とは異なる視点に基づく読書メソッド。「昔にくらべ、本が読めなくなった」という悩みを抱えていらっしゃる方には役立つと思いますので、ぜひ手にとってみてください。

イギリスで暮らす日本人女性が、さまざまなカルチャーショックを軽妙な文体で綴った『イギリス毒舌日記』(ウィルトモ著、ワニブックス)、図書館の利用価値をわかりやすく解説した『図書館「超」活用術』(奥野宣之著、朝日新聞出版)、誰もが少なからず気になっているであろう”不適切な”言葉をえぐった『不適切な日本語』(梶原しげる著、新潮新書)、障害を持つ人の可能性を立証してみせた『バリアバリュー 障害を価値に変える』(垣内俊哉著、新潮社)などなど、当然ながら、これ以外にも印象的な書籍は多数。

ジャンルを問わず、いろんなタイプの本とめぐり合うことができたと思っています。そして、きっとそれは2017年も同じなのでしょう。

あいかわらず出版不況は続いていますから、本については悲観的な論調ばかりが目につきます。しかしその一方、ここで書籍を取り上げると、アマゾンのランキングが急上昇するといったことがあるのも事実。もちろん、自分の書評のことを自画自賛したいわけではありません。そうではなく、つまり現実的に本の関心がある人は「いる」のです。そこが、とても大切だと思っています。

「本を買う人が何%減ったか」ではなく、「本に興味を持っている人が何%存在するか」のほうが、ずっと大切だということ。安易に「もうだめだー」と悲観するのではなく、「いま、ここからなにができるか」を考えていくべきだと考えているのです。だからこそ2017年も、みなさんの役に立ちそうな本をご紹介していきたいと考えています。

今年もこの書評を読んでいただき、ありがとうございました。来年も、よろしくお願いします。

(印南敦史)
Photo by shutterstock.

メディアジーン lifehacker
2016年12月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク