『競馬の世界史』
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競馬の誕生から現在までがよく分かる
[レビュアー] 図書新聞
今年の凱旋門賞は、JRA所属のクリストフ・ルメール騎乗のマカヒキがその前哨戦のニエル賞を制し、大きな期待を背負いながらも敗れ去った。しかし日本の競走馬も海外のビッグレースで互角に渡り合えるようになっている。本書は、競馬の誕生から現在までを描き、世界の競馬事情が初心者でもよく分かる一冊。アラブ馬が始祖のサラブレッドをめぐる人間模様はもちろん、発祥国イギリスは国王の関心と競馬が連動しており、まさに世界史という様相を呈していて面白い。競馬が人を魅了してやまないのは、偶然と必然の絡み合いから、想像を超えたドラマが生まれるからだろう。そんなドラマがぎっしり詰まった本書を片手に、有馬記念に臨めば御利益があるかもしれない。(8・25刊、二六八頁・本体八四〇円・中公新書)