【写真集】『作画資料写真集 女子部屋』川本史織
[レビュアー] 産経新聞社
■好きなもので埋め尽くす
アーティストや歌手、大学生、会社員など、現代を生きる102人の女性の部屋とその住人を撮影した。東京、大阪など都市部に住む小学生から70代までが主なモデル。モデルルームのようなすっきりとした部屋や、漫画やアニメのポスターが壁一面に張られた痛部屋など、作り物の映像の中でしか存在しないと思っていた部屋が実在することにまず驚かされた。
彼女たちの部屋は、好きなものが好きなだけ手に入る消費社会の反映でもある。英国出身のアーティストの部屋は日本で集めた雑誌やポスター、プロレスや野球選手の関連グッズで埋め尽くされる。また、あるアイドルのベッドはピンクのぬいぐるみでいっぱいだ。「すべてがそうではないけど、基本的に引きこもるための部屋。疲れて帰ってきたとき、お気に入りの空間があったら癒やされるから」と写真家の川本史織さん。
タイトルに『作画資料写真集』と銘打ったのは、漫画家やゲームクリエーターたちの資料として役立てられることを想定したため。等身大の女性たちの暮らしを想像させ、誰がどんな部屋に住んでいるのかという好奇心を満たしてくれる不思議な写真集だ。(玄光社・2300円+税)