『電通事件 なぜ死ぬまで働かなければならないのか』北健一著

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『電通事件 なぜ死ぬまで働かなければならないのか』北健一著

[レビュアー] 産経新聞社

 労働・社会問題をライフワークとするジャーナリストが、女性新入社員が長時間労働の果て自殺に追い込まれた「電通事件」に斬り込み、日本社会の労働のあり方に一石を投じる書である。

 著者の立場は帯に明快に示されている。「若者のやりがいを利用して利益を上げる“やりがい搾取企業”に問う!」。左右対立の時代であれば、「左翼の物言い」として受け流されたであろうが、いまや多くの若者がこの言葉に引きつけられるのではないだろうか。「好きで仕事をやっている人は仕事と遊びの境目なんてない」という某経営者の言葉は白々しいだけだ。(旬報社・1000円+税)

産経新聞
2017年1月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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