ビートルズとは「生き方」である
[レビュアー] 図書新聞
ビートルズは眠らないし、ビートルズは変わらない。変わったのは周囲だけだ、と本書にある。ジミヘンやジャニスやジム・モリソンが死んだ二七歳を自分が過ぎて、では彼らが「年下」に見えるようになったかといえば、まったくそうではなかった。彼らは相変わらず向こうのほうを全力疾走していて、こっちとの距離は縮まりそうもない。でも、ビートルズも含め、彼らは確実にこう教えてくれた。「何をやったって、かまわないんだ。やっちゃいけないことなんか、ないんだ」と。「ビートルズというのは、生きて行くということ」とも本書にある。そう、ビートルズは「生き方」なのだ。本書は一九九〇年代以降のビートルズを追いかけたエッセイ集であると同時に、ビートルズを生き方にした男の一代記でもある。(1・11刊、三三四頁・本体六三〇円・小学館文庫)