STAP細胞は……
[レビュアー] 図書新聞
ターゲットは、小保方晴子氏のSTAP細胞事件。本書では、「『非論理的・反科学・無責任』な妄信を『欺瞞=オカルト』」と位置付けて、同事件を筆頭にさまざまな迷信を一刀両断する。小保方氏の論文盗用に関して、その文章比較が示されているのだが、改めてその〝違いのなさ〟に驚く。ところで本書は「親」オカルト派にとっても興味深い一冊。というのも、妄信の例としてスピリチュアリズムの起源とされるフォックス姉妹、交霊会が大評判となったクランドン夫妻、そしてあのコナン・ドイルらにまつわるエピソードも満載だからだ。霊現象が取り沙汰された背景には戦争の惨禍があった。「せめて一言でいいから、もう一度死者と言葉を交わしたいと願った人々の数は、計り知れないだろう」と著者は記す。(9・20刊、三〇八頁・本体七四〇円・光文社新書)