『毒舌の作法』吉川潮著

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『毒舌の作法』吉川潮著

[レビュアー] 産経新聞社

 芸人や役者の一代記を書かせたら並ぶ者のいない著者は、芸を見る確かな目、つまり一級の美意識と、権力におもねることのない姿勢を故立川談志に見込まれ、落語立川流の顧問を務めた。本書はそんな著者が縦横無尽につづった辛口エッセーをまとめたものだ。

 俎上(そじょう)に載せられるのは、角川春樹、渡邉恒雄、舛添要一、長渕剛、橋本聖子、細川護煕、海老名家の人々といった“大物”から市井の老若男女まで。著者の美意識から外れる人々を遠慮なく切りまくる。嫌な後味が残らないのは、著者に品格があり、書き手として芸を持っているからだ。(ワニブックスPLUS新書・880円+税)

産経新聞
2017年2月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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