第52回文藝賞授賞式開催 受賞作「地の底の記憶」「ドール」の単行本は11月19日発売予定

文学賞・賞

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10月29日、第52回文藝賞授賞式が東京・千代田区の山の上ホテルで開催された(主催:河出書房新社)。

河出書房新社は文藝賞を「新人の登竜門」と位置づけており、未発表の小説が対象となっている。選考委員は藤沢周さん、保坂和志さん、星野智幸さん、山田詠美さんの4名。受賞者には正賞の万年筆と副賞の賞金50万円が贈られるほか、雑誌「文藝」への全文掲載と単行本化が決定している。

畠山氏(左)、山下さん(右)

今回の受賞作は、畠山丑雄(はたけやま・うしお)さん「地の底の記憶」と、山下紘加(やました・ひろか)さん「ドール」。畠山丑雄さんは1992年、大阪府生まれの23歳で、現在京都大学の文学部に在学中である。一方の山下紘加さんは、1994年、東京都生まれで現在21歳。会社勤めをされているそうだ。受賞作「地の底の記憶」「ドール」の単行本は、いずれも河出書房新社から11月19日に発売予定である。

授賞式で畠山さんは、「この作品は、下宿している京都の6畳の部屋で、昨年4月から6月にかけて3か月間で書いた。あの頃の私は、地の底に続く深い坑道を手探りで進んでいるところだった。薄暗い細い道で、いったいどこに繋がっているのか少しも考えずに奥へ奥へと進み続けて、今、この場所にたどり着いたんだと思う」と述べた。

続いて山下さんは、「のめりこんで書いたので、書き終えてからも、この作品の世界から抜け出せずにいた。精神的には疲れたが、作品の登場人物に支えられて、最後までたどり着くことができた。この先も自分の描きたい世界を追求し、作品を書き続けていきたい」と決意を語った。

最後に、河出書房新社・小野寺優社長より「河出書房新社は来年130周年を迎えるが、この文藝賞は常に活動の中心にある。新しい才能に出会うのは、出版社にとって楽しみな、意義を感じることだ。この2人の新しい才能を応援してほしい」とあいさつがあった。

現在発売中の「文藝 2015年冬季号」では、受賞作である畠山丑雄「地の底の記憶」・山下紘加「ドール」・のほか、選考委員各氏からの選評と、藤沢周さん×畠山丑雄さん、星野智幸さん×山下紘加さんによる受賞記念対談を読むことができる。

元記事「第52回文藝賞授賞式開催 受賞作「地の底の記憶」「ドール」の単行本は11月19日発売予定

写真:日本出版販売

日本出版販売 ほんのひきだし
2015年11月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

日本出版販売

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