『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』峠恵子著
[レビュアー] 産経新聞社
家族や友人や仕事に恵まれ、日々の生活に何の不満もなかったのに、「苦労してみたい」というだけの動機で、すべて投げ出して探検隊に応募。ヨットで太平洋を渡り、ボートでニューギニア島の川をさかのぼり、オセアニア最高峰を登攀(とうはん)するというハチャメチャな旅に、何の経験もなかった30代女性が挑む。平成13年春から約1年間に及んだ波瀾(はらん)万丈の日々を、当時の日記を元に再現している。
「生きて帰ってこそ冒険」なんて言葉に納得したことがあるけれど、認識が甘かったらしい。「生きることを冒険にする人」こそ最強なのであった。(山と渓谷社・1200円+税)