『あの人が同窓会に来ない理由』はらだみずき著
[レビュアー] 産経新聞社
中学校の同窓会に出たら、次回の幹事を引き受けることになってしまった藤本宏樹。なんとか参加者を増やすために同級生の消息を訪ねはじめる。自分が会いたいと思ったのは、湯島葵だった。いつもひとりでいた。誰も彼女に話しかけなかったし、ある事件が起きて、嫌な噂が立った。関わらないようにと自分に言い聞かせ、それっきりだ。でもあのとき、〈まちがいなく彼女は麗(うるわ)しかった〉。
教室で起きた出来事が、僕らの距離を遠ざけたけれど、大人になったいまなら、少しはわかり合えるかもしれない。集まるのは、新しい明日を生きるため。(幻冬舎・1400円+税)