ブックセンターササエ(佐々栄文盛堂)「それでも、それでも、それでもなお。」【書店員レビュー】

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

それでもなお、人を愛しなさい

『それでもなお、人を愛しなさい』

著者
ケント・M・キース [著]/大内 博 [訳]
出版社
早川書房
ジャンル
文学/外国文学、その他
ISBN
9784152091543
発売日
2010/08/21
価格
1,100円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

ブックセンターササエ(佐々栄文盛堂)「それでも、それでも、それでもなお。」【書店員レビュー】

[レビュアー] ブックセンターササエ(佐々栄文盛堂)(書店員)

世の中おかしい、狂ってる。会社も、職場も、学校も、家庭もどうかしている、何かがおかしい。狂っているんじゃないか。…てなモヤモヤ感、憤り、何だかヤな気分、生きていれば誰しもそんなふうに気分が沈んだり、なんて理不尽な!と心の中で叫びたくなったりもするでしょう。 「この世界はどうかしている、狂っているということをまず認める」…本書はそんな書き出しで始まります。そう、どうかしてます。それはもう仕方がない。でも世界がどうかしていて意味をなしていなくても大丈夫。僕たち私たちの側はこの世界で意味をなすことが可能だから。ニンゲンとして意味を見い出す事ができるから。それでも、大丈夫。この「それでも」がこの本の最大のポイントです。人生の意味を見つけるための「逆説の10か条」。本当は全部紹介したいのですが、個人的に心に響いた3つだけ紹介します。あとは、是非、本書を読んでみて下さい。

今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
それでもなお、良い事をしなさい。

何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。
それでもなお、築きあげなさい。

世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
それでもなお、世界に最善を尽くしなさい。
(いずれも本文より引用)

世の中や他人がどうしたこうした、ではない。そこに意味や価値を見い出すのは他ならぬ自分。自分自身の心の態度のモンダイなんですよね。
それでも、それでも、それでも。人として自分自身として為すべき事をなすのみです。その行為そのものに意味と価値があるのでしょう。

トーハン e-hon
2016年2月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク