40年以上売れ続ける名著『名画を見る眼』著者の高階秀爾さん パリでの日々を語る

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 大原美術館館長で美術史家の高階秀爾(たかしなしゅうじ)さん(84)がNHKラジオ第1の「すっぴん!」に出演し、自身の美術史家としての来歴について語った。高階さんはルネッサンス以降の西洋美術史の第一人者で、その造詣の深さと、誰にでもわかる解説で知られている。1969年に発表された高階さんの名著『名画を見る眼』(岩波書店)は発売から40年以上を経てもいまだに売れ続けているロングベストセラーだ。これまで高階さんが自身のことについて語る機会はなかったが、この日の番組はその人物像にスポットをあてた貴重な回となった。

■実物を見ることの大切さ

 高階さんは1949年、東京大学が新生となったその年に入学。大学院進学の際、教養学科の「フランス科」に進学した。当時は美術館も展覧会もなく、フランスの文化に触れる機会は古い映画ぐらいしかなく、フランスへの憧れを募らせていたという。「ふらんすへ行きたしと思へどもふらんすはあまりに遠し」という萩原朔太郎の詩を引き合いに出し、当時の気持ちを語った。留学生になればフランスへ行けると、大学院に入りすぐに留学生となるための試験を受けたという。

 パリではソルボンヌ(パリ大学)や大学付属の美術研究所などで学んだ高階さん。「絵を見る」そして「絵が何を言っているのか調べる」ことがとても大事で、試験もあり大変な日々だったという。肉眼でみて衝撃だった絵は?との問いに、「パリに着いたら、すぐルーブルへ行き、広さと収蔵品の数に驚いた。そこでジャック=ルイ・ダヴィッドの「ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」をはじめてみて、画集で見てはいたが、実物は大きいんですよね。計ってみたら住んでいたアパートより広かった」、そして町では「ノートルダム大聖堂の圧倒するような美しさに、実物を見ることの衝撃を、強く感じましたね」と当時受けたインパクトについて語った。

 パリにいた5年間は美術作品のみならず、お芝居やキャバレーまでも学割が利き、多くの事を吸収したという。そして当時のパリには、文学者では辻邦夫、森有正、遠藤周作らがおり、美術界では柳宗玄、藤田嗣治などとも交流があった事を明かした。

 その後高階さんは国立西洋美術館のオープンをきっかけに帰国。そこで主任研究員を務めることになったという。その後は東京大学で教鞭を執るかたわら、数々の書籍を著し日本における西洋美術の理解と発展に貢献し、現在は岡山県倉敷の大原美術館の館長も務めている。

■スーパースターが全部来京

 現在、東京六本木の国立新美術館では、「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」が開催されている。番組MCの高橋源一郎さん(65)は同展覧会を「どれが欲しいかって視点で見てきました」と告白。幅広く素敵な絵が多い、現代美術も結構あるんですね、と大原美術館の層の厚さに感心。なかでも谷保玲奈さんの「繰り返される呼吸」を絶賛していた。高階さんも「古くから、現在、未来までが大原美術館のコンセプトです」と語り、今回は「大原美術館のスーパースターを全部持ってきた」と展覧会のラインナップに胸を張った。

「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」は国立新美術館にて開催中。4月4日まで。「すっぴん!」はNHKラジオ第1放送にて月曜から金曜8:05から日替わりのパーソナリティーで放送中。高橋源一郎さんは金曜日を担当している。

Book Bang編集部
2016年3月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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