『自転車で見た三陸大津波 防潮堤をたどる旅』武内孝夫著

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『自転車で見た三陸大津波 防潮堤をたどる旅』武内孝夫著

[レビュアー] 産経新聞社

 表紙の写真が象徴的だ。防潮堤に立てかけられた自転車は、あまりにも小さくみえる。大規模な土木工事が続く三陸沿岸の津波被災地をたどるルポルタージュだが、身をさらしてゆっくりと道をたどるしかない乗り物の特徴が生かされている。小さな湾や集落を一つ一つながめて、土地ごとに違う被害の様相を報告し、営みを続けている人々の声を紹介。〈津波がもたらす消滅・再生という循環の「再生」の部分は、極めてリアルに体感できた〉と語る。取材では封印されているサイクリングの楽しさを、屈託なく楽しめるようになるのはいつだろう。(平凡社・1800円+税)

産経新聞
2016年3月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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