真言宗の開祖として知られる空海には、遣唐使として唐に渡るまでに「空白の7年」と呼ばれる期間がある。記録が見つかっていないのだ。唐から帰った後も謎の期間があったとされる。
空海はいったい何をしていたのか。記録に残せないような活動をしていたのではなかろうか。著者が思いをはせて書き上げた歴史ミステリーである。
著者はあとがきで、この本を「小さな説、すなわち小説」としているが、生き生きと描かれる1200年前の天才・空海の姿からは小説が「さもありなん」と思えてくる。想像力がかき立てられる。(セルバ出版・1800円+税)
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2016年3月20日 掲載
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