『青年と雑誌の黄金時代 若者はなぜそれを読んでいたのか』佐藤卓己編

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『青年と雑誌の黄金時代 若者はなぜそれを読んでいたのか』佐藤卓己編

[レビュアー] 産経新聞社

 雑誌が輝いていた時代があった。あった、と過去形で語らなければならないのは悲しいが-。その輝きは、雑誌を核に形成された若者文化によって担われていた。

 本書は『螢雪時代』から『ファミ通』まで硬軟多様な十数誌について、メディア史の第一人者である編者の下、気鋭の若手研究者が集った論文集。「大学院生の教養主義雑誌」(『現代思想』)、「音楽に託した『自分語り』の盛衰」(『ロッキング・オン』)など、雑誌自体の分析にとどまらず、それがどのように読者共同体を形成し、時代推移の中でどう変容したかを論じて読み応えあり。(岩波書店・3400円+税)

産経新聞
2016年4月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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