女優の杏が新社会人に向けてメッセージ「失ったらいけない部分、失わないといけない部分、両方否めない」

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 女優の杏さん(29)が、司会を務めるJ-WAVEの番組「BOOK BAR」(4月3日放送回)で時代小説『御松茸騒動』朝井まかて[著](徳間書店)をとりあげ、フレッシャーズや会社勤めの人も共感できる作品だと紹介した。

■現代の新社会人がぶつかる壁と同じ

『御松茸騒動』を杏さんは「勢いのある笑って楽しめる時代小説」と紹介。物語は算術が得意な19歳の尾張藩士が主人公。江戸育ちの優秀な青年はいつか自分が国(藩)を変えてみせると燃えていたが、なぜか「御松茸同心」を拝命し、尾張の国で松茸の調達を任されることになる。江戸っ子で生意気な主人公が2000本の松茸を用意するために奔走するも様々な障害にぶつかる。その様子を杏さんは「効率よくいけばいいのに、慣習だったり、なんとかかんとか(旧弊や悪習)で『うーん』となってしまう。そんな組織の在り方は今の会社に通じるものがあるんじゃないか」と語り、「遠く時代は離れているが、フレッシャーズや会社勤めの方にも共感できるんじゃないのかな」と同書の普遍性を解説した。

■「手間かけてなんぼだ」というおじさん

 杏さんは旧弊に囚われる社会の例として同時代の発明品「千歯扱き」をあげた。脱穀が短時間で終わる画期的な発明品でも、それを良しとしない人が出てきた。当時は「楽ばかりしてたらロクな大人にならない」「手間をかけてなんぼだぞ」との意見があったという。また社会の強固な仕組みに闘うことを諦め、長いものに巻かれておこうという大人のおじさんたちと、そんな人たちにもやっとする若者。明治維新から150年経っているが、変わらないなと感じる、と杏さんは語った。

■3年は我慢して「仕組み」を学ぶ

 ナビゲーターの大倉眞一郎さんは「社会に出れば嫌なことはたくさんあります。それでも3年は勤めてみたらどうですか」とアドバイス。その間に社会の仕組みをよく見て、嫌な仕組みはこうできあがる、うまくゆく仕組みはこうなんだ、と学ぶべきだと新社会人に向けて語った。杏さんも「失ったらいけない部分、失わないといけない部分。両方否めないですよね。がんばってください」とフレッシャーズに向けてエールを送った。

 この日大倉さんは「目から鱗が落ちるとはこのこと」と視覚障害者の世界の見方について書かれた、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』伊藤亜紗[著](光文社)を紹介。ゲストの酒井若菜さん(35)は夏目漱石の『こころ』(集英社)を紹介。三省堂書店の内田剛さんが『ニッポンのトリセツ 外国人向け日本観光ガイドブックには何が書かれているのか?』ゴーシュ[著](リットーミュージック)を紹介した。

 「BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。

Book Bang編集部
2016年4月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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