市川紗椰「端正で澄んでいる文章がすごく印象的」と本屋大賞『羊と鋼の森』を絶賛

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 全国の書店員が最も売りたい本を選ぶ「2016年本屋大賞」が4月12日発表された。大賞に輝いたのは宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(文藝春秋)。宮下さんはその日急きょフジテレビのニュース番組「ユアタイム~あなたの時間~」に出演した。

■端正で澄んでいる文章

 番組MCの市川紗椰さん(29)は『羊と鋼の森』を「端正で澄んでいる文章がすごく印象的。今回は調律師の話っていうことで、文章も音楽的というか、すごいじっくり、かみしめながら読ませていただきました」と絶賛し「馴染みの無いピアノの調律師という職業に注目したのはなぜですか?」と質問。宮下さんは「私が三歳の頃に買ってもらったピアノがあり、ずっと来てくれている調律師さんがいる。その調律師さんがすごく印象的で、このピアノにはいい羊がいるからまだまだ大丈夫ですよって言ってくださったんです」とタイトルにもなっている「羊」というキーワードの出自を明かした。

■調律前のピアノのような主人公

 コメンテーターのモーリー・ロバートソンさん(53)も興奮気味に「一気に駆け抜けるように読んだ。興味深かったのは、(ピアノの)音程が違うものだったときに、うねりっていうのが出てくる。それを調律師が本当にデリケートに頭と体と両方で聴いて(調律する)。われわれが聴いている音楽はそういう非常にデリケートで、精巧なバランスの上に成り立っている。実はお話の中で、人間関係にもうねりがある。微妙にずれて、また戻る」とミュージシャンでもあるモーリーさんならではの視点で評した。それを受け市川さんも「主人公のちょっと頑固だけど主体性がない感じも調律前のピアノのような感じですよね」と宮下さんに尋ねると「そうです、そうなんです」と宮下さんは大きくうなずいた。

■女性書店員が熱く薦める

 番組では宮下さんの作品が女性から共感を得ていると紹介し、本屋大賞を選考している書店員の女性の声を紹介した。女性の書店員さん二人はそれぞれ「好きなことを仕事にすることの難しさと楽しさとか、生きがいみたいなものを言ってくださっている感じがする」「道に迷ったときに、子どもたち、新社会人の方々などに、書店員としてお薦めしたい一冊が出来ました」と熱く同作を評した。宮下さんは書店員さんが気合いの入ったポップを持ってきてくれて胸がいっぱいになったと告白。「10年分くらい1万時間分のご褒美を頂いたような気持ちです」と嬉しそうに語った。

■森林浴のように爽快な一冊

『羊と鋼の森』の受賞にネット上では「読んでいると森林浴をしているよう」「ノミネート作のなかではずば抜けて読後感が爽快だった」「人生を肯定できたような気がする」「福井の誉れだ!」との声があがっている。女優で作家・書評家としても知られる中江有里さんも、4月13日NHK総合の番組「ひるまえほっと」で同作について触れ「非常にいい作品で、どこかでもっと注目されてほしいなと思っていた」と語った。中江さんのTwitterには受賞式で中江さんが宮下さんを祝福している写真も掲載されている。また翻訳小説部門では『書店主フィクリーのものがたり』ガブリエル・ゼヴィン[著](早川書房)が第1位に選ばれた。

 「ユアタイム~あなたの時間~」は月曜から金曜よる11:30よりフジテレビ系列にて放送中。http://www.fujitv.co.jp/yourtime/

Book Bang編集部
2016年4月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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