芸術新潮5月号は【特集】若冲 水墨ニューウェイブ
若冲といえば《動植綵絵》に代表されるように、極彩色のイメージが強い。だが手がけた作品の8割以上は水墨画。つまり水墨画をも知ることで、ようやく画業の全貌が見えてくるわけだ。そこには超絶技巧もあれば、静謐な襖絵、ユーモアあふれる戯画まで多種多様。描き込み具合も晩年に向かって変容するし、点描作品だってある。そういった数々の制作をとおして、若冲は独自の手法も編み出していった。たとえば墨のにじみをコントロールする“筋目描き”。誌面では、洋画家・諏訪敦氏がこの変則ワザに挑戦している。晩年ともなると、その筋目描きや墨のかすれを自在に操る若冲の技も円熟の域に達し、最高傑作のひとつ《果蔬涅槃図》が生まれた。釈迦涅槃図の要素を野菜と果物に置き換えた本作は、読み解きも面白い。
また原田マハ氏による短期集中連載「デトロイト美術館の奇跡」がスタート。市の財政破綻により存続の危機に瀕した美術館の、実話をもとにした物語。
芸術新潮編集長 吉田晃子
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2016年5月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
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