【ガチ証言集】少女漫画家Sさんって、本当にクズなの?

特集・インタビュー

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「週刊少年マガジン」「モーニング」など、講談社各コミックス誌編集長からラブコール殺到中! 締め切りを毎回破るダメ漫画家を描いた少女漫画『ラブコメのバカ』。登場人物のほとんどが実在の人物をモデルに描かれ、注目を浴びている漫画家マンガだ。主人公の漫画家・佐倉すずのモデルは作者の櫻井しゅしゅしゅ本人。現実世界で被害を受けている人の生の声を報告する。

悲痛な声続々! 被害者の会・報告まとめ

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「いけるーーー!!」じゃねーーーーーーーーーーーー!!!!

「担当を代わって欲しいと毎月思う」

担当編集①・H:『ラブコメのバカ』の1巻に描かれている“打ち合わせ24時間遅刻”は実際にやられたことですね。日にちを間違えたのではなく、本当に遅刻。それでまったく悪びれないし……才能なかったらただのクズですよ、あの人。すずが「担当を代わらないで欲しい」と足にすがりつくシーンも実際にありました。そんな漫画みたいなことあるわけないと思うかもしれませんがガチです。もう6年担当していますが担当を代わりたいと毎月思いますw。

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爽やかに遅刻とのたまうすず先生に長谷川呆然。

担当編集②・S:1時間以内に原稿が上がらないと雑誌に載らないという逼迫した状況の中、目を離した隙に失踪。戻ってきたところを問い詰めると「シャワーぐらい浴びさせてください! 私にだって人間の尊厳が必要です!」と逆ギレし出して……。櫻井先生の進行のせいでアシスタントさんが2日徹夜しているのにですよ!? 相変わらず「ARIA」の締め切りでビリを連発しているのに、「自分は真人間になった」と豪語したりするし、本当にどうかしています。講談社に3ヵ月泊まるとかも信じられないです。

元担当編集・I:土日に会社で作業するという櫻井さんに、あけて月曜日に進行を確認したら全く進んでいなかったことがありました。「2日間何をしていたの……?」と呆然としていたら、櫻井さんの椅子に「KYOSUKE HIMURO」というロゴ入りの見慣れぬタオルが……。聞いたら「ハイ! コンサート行ってきました!!」って……!!(泣) 天才だとは思うんです。「櫻井さんの描くBLのチ○コって、なんでこんな理想的なものが描けるんですか!?」と聞いたら、「私……前世が宦官だったんだと思うんですよね……」と真顔で言われた時はものすごくビックリしましたし! 宦官だから、失ってしまったもの(=チ○コ)への熱い思いがあるとか意味わからないですよね!? 良くも悪くも予想の斜め上の事態が起こるので、櫻井先生の担当は強いメンタルが必要ですね。

「目を見て締め切り守るって言ってたのに…」(コミックスデザイン・N氏)

櫻井先生の漫画は、とにかく男性のカッコ良さが異次元です。あと発想力がすごい。前作の『SSG~名門男子校血風録~』で西郷隆盛像の犬がドーベルマンになっていた時は、「あ、この人天才だ」って思いました。ご本人はいたって謙虚で礼儀正しい方で、あまりの腰の低さに編集部が弱みを握っているのではないかと思ったくらいです(笑)。でも打ち合わせで僕の目を見て締め切り守るって言ってたのに全然上がらなくって。納期は決まっているのでデザインにかけられる期間が短くなっちゃって困りました……。

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コミックスカバーの締め切りをぶっちぎったすず先生。

「少しの遅れなら残業でどうにかなるけど……」(校閲担当者・S)

校閲では、漢字、送りがな、ルビ、文脈、固有名詞、物語の流れ、前話までと齟齬がないか、建物や人物などの絵に不自然なところや揺れはないか、絵が話とあっているか、などを同時に見ながら読み込んでいます。チェック項目が多いので見落としのないよう複数の人間でチェックする体制をとるのですが、原稿が遅れれば精度はそのままに時間だけが圧迫されることに……。少しの遅れなら他作品との調整と多少のスピードアップと残業で吸収できますが、度重なると頭が朦朧としてくるので早めにご相談いただけると助かります……。

「どんだけ待たせれば気が済むんだ!?」(「ARIA」編集部デスク・K)

雑誌には掲載順が書かれた編成表というものがあります。印刷は作品ごとではなく折という印刷専用の単位で進行するので、入稿が著しく遅れたりページ数が減ったりした場合に編成表の順番を入れ替えたりします。たとえば8ページ減ると100ページ以上に影響が出ることもあります。変更するたびに全編集部員、販売部、業務部、校閲部、製版所、印刷所、製本所と多くの方に影響を及ぼすので気が気ではありません。あまりに遅れた時はつい「どんだけ待たせれば気が済むんだ!? 」って担当編集に暴言を吐いたこともありますね(笑)。

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たくさんの人が編成表を基準に仕事を進めている。変更はやすやすと行えない。

「工場見学までしたのに入稿ビリってどういうこと……?」(T国印刷営業担当・S氏)

わざわざ弊社まで足を運んでくださり、印刷の流れなどをご覧になっていかれました。こちらの説明も良くご理解いただけたと思ったのですが、その直後の入稿はビリでした。不思議です……。 締め切りを過ぎると、どこまで待てばいいのかわからないという状況になるので本当にギリギリのラインで印刷・製本の枠を確保して僕たちは待っています。当然、土曜・日曜・休日関係なしです。櫻井先生、「ARIA」の締め切りは毎月15日です! どうか原稿をください!!

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泣いても叫んでも締め切りはやってくる。

想いが集う! やっぱりマンガはやめられない!!

「ミニマムで濃密なやりとりはコミックデザインの醍醐味」(コミックデザイン・N氏)

コミックは作家さんが自分で絵を描くので、デザインより先に絵について話をします。コンセプトをたてて完成へ向かうという一連のプロセスを作家、編集者とデザイナーの最小人数で完結できるのでミニマムで濃密。やっぱりこれはコミックデザインの醍醐味ですよね。

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1冊の本に込められるこだわりと情熱。イケメン2人が激しく議論を交わす。

「漫画は“今”を映す」(校閲担当者・S)

漫画は“今”を映す作品が多いのが特徴です。リアルな会話やほかの漫画、テレビ、映画、ネットなど、生まれたての新しい言葉を肯定的に見ていくのはとても面白いですね。明らかな間違いはどれかを考えて違和感を修正し、野暮な直しを入れないよう、全力で漫画を読むのが楽しくて仕方ありません!

「作品が売れたらやっぱりうれしい」(コミック販売担当・S)

部数については過去の実績を見ながらビジネスライクにいきます。作中の部数会議での編集部とコミック販売部とのやりとりはリアルですよ。2日間にわたって会議をやったこともあります。
とはいえ作品に惚れて「売れる!」と思ったものが売れない時は苦しいですし、関わったものが売れて喜ばれていると僕らもやっぱりうれしいんです!

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出版社は慈善事業じゃない。けれど、心がないわけじゃない!

「間に合わせるため全力で!」(T国印刷営業担当・S氏)

僕たちの仕事は原稿をいただいてからが勝負です。いつもらえるのか予想がつかない状況でも待ち続け、きたら雑誌に間に合わせるために全力を尽くします! いつも楽しく読ませていただいていますから!

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漫画家という神様の生み出すものに、俺たちは惚れたちまったんだ!!

──被害報告とともに各部署から熱い気持ちも寄せられました

担当編集・S:編集も同じです。昼夜問わず長文のショートメールが大量に送られてきて多額の携帯料金の請求が来た時は辞めたいと思いましたが、先生が想像以上の作品を仕上げてくださると「担当をしていてよかった」と思ってしまうんですよね。

担当編集・H:作品をお金に換えるという使命を背負っている我々ですが、作家さんの一番側にいながらも、その葛藤を100%理解することは難しいです。作家さんの努力が「売れる」に直結するとは限らないし、自分自身も編集に向いていないと思うこともあります。毎日のように辞めたいと思い、毎日のように辞めたくないと思いながら仕事をしている感じです。ただ、作家さんが心血注いだ作品が面白い……それだけで悩みも苦労もぶっ飛ぶ仕事。櫻井先生の場合、どんなにお説教しても約束も締切も守ってもらえないけど……それでも許せるくらいには(笑)。

「ARIA」編集部・T:あの超絶イケメンを生み出している先生が編集部で担当編集にめちゃくちゃ怒られているのには驚きましたけどね。新しい関係性だと思いました(笑)。

同編集長・T:櫻井先生はマイペースで「なんなんだ、この人」と思わせつつも、段々憎めなくなってしまうんだよね。

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漫画家という才能の塊に、尊敬の念を抱いて。

漫画は面白いことがすべて。面白くするためにあと1日考えたいというのなら、読者を喜ばせるためにギリギリまで粘ってもらって構わないと酒の席で櫻井先生にお話ししたことあります。漫画家という商売は自分の切り売りですから、エピソードは自分の人生、キャラクターは自分の分身です。『ラブコメのバカ』の主人公・佐倉すずは、櫻井先生そのもの。櫻井先生の漫画道『ラブコメのバカ』をぜひ読んでほしいですね。

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生半可な覚悟じゃ人の心は動かせない!

爆笑、情熱、時に胸キュンが詰まったリアル漫画家マンガ『ラブコメのバカ』は「ARIA」で好評連載中。コミックス1~2巻発売中です!

松澤夏織(ライター) KODANSHA All Rights reserved.

講談社
2016年5月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

講談社

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