ベストセラー『死体は語る』で知られる監察医の著者は、これまで警察、弁護士、保険会社などからの依頼を受けて、病死や事故死として片付けられていた死体の再鑑定を300回以上こなしてきたという。本書は実体験を元にした9編のドラマを収録している。
語らぬ死体の「人権」を守ろうと、著者の目は砂粒、かすり傷ひとつ見逃さず、死の原因について合理的な推理を重ね、なぜ最初の鑑定が間違ってしまったのかを丁寧にひもといてゆく。その手際は名探偵そのものである。9編のどれもがミステリー作家のネタになりそうだ。(東京書籍・1400円+税)
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2016年4月24日 掲載
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