【児童書】『しましまかしてください』林なつこ作 楽しみつつ貸し借り学ぶ
[レビュアー] 篠原知存(ライター)
〈その しましま ぼくに かしてくれませんか〉
ゾウが、いろいろな動物たちから「しましま」を借りる物語。最初はハチ。そしてサル。それからトラ。だけどゾウは大きいので、ちっとも足りません。それで大きな空から「あれ」まで借りて、とうとう立派なシマゾウに。シマウマと仲良しになれました。
ゾウが、みんなにしましまを借りるたびに言われるセリフが「いいけど、ちゃんとかえしてね」。だけどゾウはすっかり返すことを忘れてしまって…。
「貸し借り」というのは子供がほかの子とコミュニケーションを取り始めるころ、まず教えたいことのひとつだろう。「友達から勝手にものを取っちゃだめ」とか、「お願いされたら貸してあげようね」とか。読み聞かせながら、楽しく話ができそうだ。
表紙のゾウにピッタリのしましまが描かれた透かし紙の帯がいい。宣伝文句がうるさい帯はすぐ捨てちゃうことにしているが、これはつけて、外して、楽しめる。(教育画劇・1300円+税)
篠原知存