痛みが一瞬で消えた! 直木賞作家が体験をもとに書いた「奇跡的な治療」とは

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 あなたは、「奇跡的な治癒」というものの存在を信じるだろうか。

 ステージ4のがんの宣告を受けながら何年も生き続ける人がいる。人間の自然治癒力をあげる意志の力や様々な代替医療によって崖っぷちで踏みとどまるという。また車椅子生活を余儀なくされた重傷患者が歩き出すという逸話がある。東洋医学による奇跡的な回復はスポーツ選手や俳優、一般の人などでも枚挙に暇がない。しかしそんな体験談がテレビで紹介されたり、ネット上で都市伝説のように話題になったりするのをみても、多くの人は半信半疑だろう。

 実は、直木賞作家・白石一文さんは、その「奇跡的な治癒」を体験した一人だ。白石さんが、原因不明の背中の痛みに悩み出したのは、のちに直木賞を受賞する『ほかならぬ人へ』を出版したばかりの2009年暮れのこと。激痛ではないが、鈍痛が始終続く。最初は、机に向かっている時間が長すぎることが原因かと、ウォーキングや体を伸ばすことを心がけたが、痛みは治まるどころか、日に日に強くなっていった。

「これは、筋肉がどうのこうのという痛みじゃない、体の内部から来てるモノだ。結石だろうか? まさかガン……」

 複数の病院に相談したが、どんなに詳細な検査をしても異常は見つからない。

 悪いところはないと言われても、実際に痛みは消えない。白石氏は、途方にくれ、ついには執筆さえままならなくなり、ほとんど寝たきりのような状態で体を捻ることもままならなくなってしまった。

「このままじゃ、書けなくなる……」

 見るに見かねた編集者が、「ものすごい先生と知り合いになりましたから、紹介しますよ」と、ある鍼灸治療院に連れて行ってくれた。

 院長は、誰もが知る有名スポーツ選手を幾人も治療してきた白石宏氏。日本のスポーツトレーナーの草分けで、マラソンの有森裕子氏、水泳の北島康介氏らの、トレーナー兼治療師。オリンピックのメダリストたちのほか、顧客には超有名選手がずらりと名を連ね、「ゴッドハンド」と呼ばれる数々の逸話を持つ。

 白石一文氏は、藁にもすがる気持ちで治療院を訪ねた。

 同じ白石という姓を持つ院長の顔を初めて見たとき、白石さんは「この人は、普通の人とどこかがちがう」となにかを感じた。言葉にできない、不思議な感覚だったという。

 治療院のベッドに横になり、これまでの症状をを告げると、院長はうつぶせの背中に手をかざし「ああ、なるほど」と呟いた。

 するとまだ何もされていないにもかかわらず、かざされた手から熱を放射されたかのように白石さんの背中が温かくなった。じんわりした熱は、あたかも痛みを溶かしていくかのようだったという。その後、何本か鍼を打ってもらい、温熱マットで患部を温め、治療は終わった。時間にすれば、40分ほど。

 最後に、「では、立ってみてください」と言われて立ち上がると、半年以上も重苦しく自分を苦しめていた背中の痛みはほとんど消えていた──。

 白石一文さんは、その瞬間「やはり奇跡はあるんだと思った。偽物もたくさんいるが、本物のヒーラーは実際に存在し、『奇跡的な治療』というものも実際にあるのだ」と確信した。そうでなければ説明がつかない。

 なぜ痛みを消すことができたのか。治療師・白石宏氏は、多くを語らず、ただ、「痛みは心と結びついているのだ」と語った。この日と、一ヶ月後の再治療で、痛みはほぼ完璧に消えてしまったのだ。

 そのとき感じた衝撃をもとに執筆したのが、長編小説『神秘』である。

 テーマは、病のなかの病といえる「ガンからの生還」だ。膵臓がんで余命半年の宣告を受けた主人公の、劇的な一年を描く。

 小説『神秘』で描かれているのは、「奇跡的な治癒」である。世の中に奇跡は起こる。余命を告げられるような病と向き合わざるを得なくなったとき、奇跡が起こる可能性があると肌で感じた経験がある人とない人では、その後の人生がまったく違うものになるいう想いを込めて、自らが体験した「不思議なパワー」を、物語の形で伝えた作品だ。

 白石さんの想いを汲むかのように、小説『神秘』を読んだ読者からは、ガンや重病や怪我からの奇跡的な回復などの体験をしたという声が続々寄せられているという。

 その後、白石さんは背中に痛みを感じたことはない。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年5月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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