伊集院光 鬱気味だった頃に実践していた「楽しくなるヒント」を公開

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 タレントの伊集院光さん(48)が司会を務めるラジオ番組「伊集院光とらじおと」に5月25日、作家の五木寛之さん(83)が出演した。伊集院さんと「親鸞」の話をしたかったという五木さんと、五木さんの本で落ち込んだ時期を乗り切ったという伊集院さんの相思相愛対談が実現した。

■親鸞をわかりやすく

 伊集院さんはEテレ『100分 de 名著』の司会も務めている。そこで『歎異抄』が取り上げられ、五木さんはその番組を「丁寧に見ていた」と語る。『歎異抄』は親鸞聖人の教えを弟子の唯円が説いた本。伊集院さんは同番組で毎回専門家に教えを請う立場となって、名著の素晴らしさを伝えている。五木さんは番組での伊集院さんの対応を讃え、「親鸞は学者にではなく、普通の人に向けて話をしたかった。あの番組は画期的でしたよ」と敬意をあらわした。番組で取り上げられた「悪人正機説」などの難しい親鸞の教えを、誰にでもわかりやすく解説することの重要性について五木さんと伊集院さんが語りあった。

■五木さんにとっての親鸞とは

 五木さんの『親鸞』は2008年から新聞連載が始まり、6年がかりで完結をみた三部作。その最終巻『親鸞 完結篇』がこの春講談社より上下巻で文庫化された。五木さんが親鸞のことに関心を持ちだしたのは約50年前金沢に住んでいたころからなので、『親鸞』は構想50年の作品だと明かされた。伊集院さんに五木さんにとって親鸞とは? と問われ「不安とか悩み事があるときの友達」と語る。五木さんは「一人居て喜ばは二人と思うべし、二人居て喜ばは三人と思うべし、その一人は親鸞なり」という親鸞の言葉を紹介し、誰かが横にいると感じると孤独が全然気にならないと述べた。伊集院さんは「周りに人がいても孤独を感じる事がある。後輩に囲まれているのに孤独を感じるのは『始末の悪い孤独』」だと“群衆の中の孤独”について語りあった。

■鬱時代を乗り越えてきた二人

 伊集院さんは五木さんの『生きるヒント』(スマートBOOK版 学研パブリッシング)を本の造りとして「革命だと思うくらい好き」と絶賛。スマートBOOKとは、文庫サイズのハードカバー。「泣く、笑う、買う、占う」などで章立てされており、そのときの感情によってどこのページを読んでもよい造り。そして章の冒頭には、五木さんが伝えたいことを短くまとめた短文があり、その後にエッセイ本文が続く。伊集院さんは時間がない時は目次だけでも、まとめ部分だけ読んでもいい、と楽しみ方を解説した。

 番組終了後に更新された伊集院さんのブログでも「とにかく読み手のことをよく考えた装丁で、目次、短文、エッセイ、と忙しい時には目次から一項目だけでも、短文だけを続けて読んでも、じっくりエッセイを読んでもいい作り。五木先生の文章の魅力を知り尽くした人が作った本だと感じる」と書いている。

 伊集院さんは自分が鬱気味だったときにこの本に出会い、同書の中の「しんどい頃、一日に一回喜び、それを手帳に書く」という五木さんからのアドバイスを実践していたという。そして実際に続けると「楽しくなるんです」とその効果を語った。五木さんも鬱の時期を乗り越え、同じ場所を通過して来たと語ると、伊集院さんは「五木さんもそこに辿りついたんだ」と共感と感動をあらわしていた。ブログでも「僕が落ち込んでいる時にヒントをいっぱい貰った本だ」と同書を薦めている。

伊集院光 オフィシャルブログ 「生きるヒント」
http://lineblog.me/ijuinhikaru/archives/3683350.html

 また五木さんは作家になって数十年間ラジオの仕事を欠かしたことはないという。25年間TBSで「五木寛之の夜」を続けた五木さんと、20年以上「伊集院光 深夜の馬鹿力」を続けている伊集院さんがラジオへの愛もたっぷり語った貴重な放送となった。

伊集院光とらじおと」月曜から木曜朝8時30分よりTBSラジオにて放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年5月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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