デビュー作が30万部突破! 絵本作家ヨシタケシンスケの最新作は“死”がテーマ

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 5月28日放送のTBS「王様のブランチ」のブックコーナーで絵本作家のヨシタケシンスケさんが特集された。ヨシタケさんの可愛くて深い絵本に番組MCの新川優愛さん(22)やブランチリポーターの面々もすっかり魅了された様子だった。

■デビュー作が30万部の大ヒット

 ヨシタケさんは日常の一瞬をユーモラスに切りとる発想絵本で大人気。デビュー作『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)は30万部を超える大ヒット。人気の秘密はあたりまえを疑う「発想」の力だと紹介された。一冊丸々りんごが「さくらんぼの一部かもしれない」「赤い魚が丸まっているのかもしれない」と様々な発想を巡らせ、子どもから大人まで楽しめる新感覚の絵本となっている。

■何気ない仕草から世界の秘密を

 番組ではヨシタケさんの仕事場へ訪問、独特の世界を生み出す秘密に迫った。常に持ち歩いている手帳が紹介され、ヨシタケさんは「書いておかないと忘れちゃうくらいどうでもいいことを記録する」と日常で起こる面白くなりそうな一瞬を記録し、作品に反映していると明かされた。「子どもがジタバタするときはこういう風に転がるんだとかみると、なるほど! と思い、世界の秘密を見つけたような気持になる。どうでもいい仕草の中にその人らしさや人間らしさがでてくる。それをたくさんコレクションすることで実は何か大きなことが分かったりするかもしれない」とアイデアの源泉を明かした。そして実際に街でジタバタする子どもを見たときに思いついたのが『もうぬげない』(ブロンズ新社)だと紹介された。

■最新作は“死”がテーマ

 ヨシタケさんの最新作『このあとどうしちゃおう』(ブロンズ新社)のテーマは死後の世界。主人公の僕が死んだおじいちゃんの部屋から見つけたのは「このあとどうしちゃおう」ノートだった。そこには、おじいちゃんが想像した、死んだ後の過ごし方、天国を経由し、生まれ変わりセンターを経てこの世に戻ってくる手順などが書かれていた。そして、おじいちゃんが生まれ変わったらなりたいものの一覧、末っ子、動物園のコアラやゾウ使いなども書かれていた。そして「こんな神様がいてほしい」という項目では、今までの思い出話をおもしろがって聞いてくれたり、誰にも言えなかったことを聞いてくれる神様を希望している。何だか楽しそうな死後の世界に思わずクスリとくる一冊だと紹介された。

 今回ヨシタケさんが“死”をテーマにしたのは、「想像力というものを考えたときに“死”は難度が高い。正解がどこにもあるわけではないし、何を言っても正解でもあり不正解でもあるという部分ではすごく発想という部分と近いものがあるし、人類の歴史は死をどう想像してきたかでもある」とその理由を語った。そして一番こだわった部分として「地獄ってやだなというコーナーをつくってよかった。幸せはレパートリーがないが、不幸はキリがない。地獄の方が奥が深い」と恐ろしい地獄パートもユーモアを感じて楽しめる一冊となっていると紹介された。

■大人同士で読んでほしい

 同書を読んだスタジオの新川優愛さんは「絵のタッチや笑える地獄とか、かわいらしい描写もたくさんあってお子さん向けって思うかなと思うんですけど、すごく言っていることが大人の私が読んでても心に刺さった。お子さんがいらっしゃる家庭だけじゃなく、大事な人とかカップルや夫婦とか、大人同士で読んでほしいなって思う一冊でもありますね」とその魅力を語った。

 またその日の暮らしに役立つ実用本を紹介するハウツーブックンのコーナーでは『文房具屋さん大賞2016』(扶桑社)が紹介された。

■ヨシタケシンスケ『今日も記念日』毎日更新中!

 現在本の総合情報サイト「Book Bang」ではヨシタケさんのコーナー『今日も記念日』が毎日更新されている。一日に一枚、その日の記念日を題材としたイラストが発表され話題となっている。

『今日も記念日』
https://www.bookbang.jp/anniversary/

王様のブランチ」はTBSにて毎週土曜日9:30から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年5月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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