オードリー若林MCの文筆系バラエティー 1クールで終了に「もったいない」の声

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 お笑いコンビオードリーの若林正恭さん(37)が司会を務めるBSジャパンの番組「ご本、出しときますね?」(6月3日放送回)に小説家の中村航さん(46)と中村文則さん(38)が出演した。笑いに包まれた番組のなかにも、小説家と若林さんの特異な自意識が見え隠れする放送となった。

■溢れる自意識

 若林さんは中村航さんを「こんなに弄られる小説家、唯一じゃないですか」と評し「俺も舐めてます、正直」とも語る親しげな間柄。放送の中でもスキンシップをしたがる航さんに「オネエじゃないですか」と突っ込むなど親密な空気が流れていた。

 逆に中村文則さんには、文則さんの著書『教団X』(集英社)を読み、「非常に衝撃を受けて、世界全体の事から個人の心の中のことまでスケールのでかい物語」と感じたと話し、さらにその中のあるシーンに「こういう気持ちを持っている人に出会うことができた」と感じたとまで語った。そのシーンとは教団の教祖が殺し合いをしている様子を、ダルそうに、めんどくさそうに見ている場面。そのシーンに流れるある種の冷めた視点で二人は通じ合っていた。

 また文則さんは「もう一人の自分が見ていて、自分を律する」ために「ジェットコースターにどんな顔で乗ったらいいかわからない」など自意識の過剰な一面を明かし、若林さんも共感をあらわした。航さんも「信念を持ってやってますとは言わない」とのルールを発表。さらに読者に「硬い」と思われないようにしていたとも語り、ひょうひょうとした弄られやすいキャラクターの底にある小説家ならではのシャイな意識を感じさせた。番組の最後には航さんが自意識をテーマにした小説として太宰治の『きりぎりす』(新潮社)をあげた。

■アダルトビデオを流して……

 番組恒例の出演者同士がお互いの質問に答えるコーナーでは、「ラブシーンを書く時どんな顔をしていますか」という質問に二人は答えた。航さんは相手との距離を描写する際、エア(相手がいるものとして)でラブシーンの仕草を実践しながら書くという。文則さんはベッドシーンを書く前にはアダルトビデオを流して気持ちを盛り上げるという。そして「深夜に変なゾーンに入って」から書くと「マジかよって描写になる」とAVに影響を受けてしまうと明かした。さらに残酷なシーンや悪い奴を書いているとテンションがあがるとも明かし、サディスティックな一面を披露していた。

■6月24日で終了

 同日番組プロデューサーの佐久間宣行さんはTwitterの自身のアカウント@nobrockで6月24日の放送で「ご本、出しときますね?」は終了だと明かした。それを知ったTwitter上の番組ファンの間からは「1クールで終了なんてもったいない」や「生きる喜びだったのに」「テレビでこんな楽しそうな若林さんみられないのに」など作家の素顔とそれを楽しむ若林さんが見られる貴重な番組の終了を惜しむ声が多数あがっている。しかし佐久間さんは「もともとワンクールの番組だったんです。また次があるかは様々な条件とタイミング次第です。」とも発言しており、吉報を待つファンも多いようだ。同番組の最新の放送回はBSジャパンのウェブサイト(http://www.bs-j.co.jp/gohon/index.html)でも無料配信されている。

 文筆系トークバラエティ「ご本、出しときますね?」はBSジャパンにて毎週金曜よる11時30分から放送中。

Book Bang編集部
2016年6月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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