○メリット1 税制面
大きなものとしては「掛け金が全額非課税になり、所得税や住民税が減る」「運用中の利益にかかる税金も非課税」「老後の受給額にも控除が適用」の3つがあります。
○メリット2 転退職の時も不利にならない
これは、現役世代(とりわけ、転職のチャンスがまだ残されている20~30代)にとって非常に大きなものです。企業年金は個々の企業で用意しており、運用主体も企業となっています。名目上、企業年金の積立額は企業と個人で折半するのが一般的ですが、実質的には支給されるはずだった給与の一部を振り替えているにすぎません。
すなわち「定年まで在籍する」という前提のもとで本来もらえるはずだった給与の一部を削り、企業年金として積み立てているのと同義です。そのため、「転職をする=これまで積立金として削られてきた給料を捨てていく」ことを意味します。
確定拠出年金の場合は、転退職時に年金資産を持ち運べる制度(ポータビリティ制度)があるので、こうした不利益は起こりません。
○メリット3 受給権が確保されている
企業年金をもらうには、(当然ながら)その企業が定年退職のときまで存続していなければなりません。言い換えれば「定年を迎えるまでの間に会社に何かあったら、企業年金を満額受け取れる保証はない」ということです。たとえば、2010年1月に会社更生法を申請したJAL(日本航空)では、現役5割・OB3割と、日本の企業年金史上最大規模の減額をすることになりました。
いまや「大企業だから倒産しない」なんて言える時代ではありません。企業年金では日々の運用リスクを負うことはありませんが、「受け取れるようになるまで会社が存続しているのか」という潜在的なリスクを抱え続けることになる、と言い換えることができます。
■デメリット1 運用成果は自己責任
拠出額は確定していますが、それを受け取れるようになるまでにどれだけ増やせるか(場合によってはどれだけ減るか)は、すべて自分の運用にかかっています。ですので、自分の年金運用に用いる金融商品を見る目を養い、投資知識を身につけなければ効果的な年金運用はできません。
■デメリット2 引き出しや脱退に制限
確定拠出年金は私的な積立ですが、年金という性質上、原則的に60歳になるまでは中途脱退や引き出しをすることができません。ただし、企業年金にしても支給年齢に達するまでもらえないのは一緒なので、さほどのデメリットではないとも言えるでしょう。
商品選びの「地雷」は思わぬところに潜んでいる
先述のように、受給額を増やすには「投資知識をつけて金融商品を見る目を養う」のが大前提です。運用中でも商品の入れ替えはできますが、一番重要なのは加入時の選び方。なかには「地雷」というべき、選んではいけない商品も紛れ込んでいます。ここでは確定拠出年金を最大限に活かす商品選びの方法を見てみましょう。
地雷商品とはどういったものを指すか
金融機関は「手数料で稼ぐ」ことをビジネスモデルとしています。確定拠出年金に関わる金融商品の手数料は、一般の投資信託のものと比べるとおよそ半分なので、販売側のモチベーションもそう高くはないのが実情です。しかし、向こうもビジネスなので、何とかして高手数料のものを選んでほしいと願っています。
こうした「利回りに比して運用手数料が高いもの」が年金を賢く運用するにあたって絶対選んではいけないわゆる地雷商品です。個人型に加入する人は、こうした商品を取り扱ってる運営管理機関(年金の運用を管理する金融機関)を避け、ちゃんと利益の出る商品を取り扱ってる期間を選べばいいのですが、企業型に加入する人は少々事情が異なります。
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