賢帝や愚帝ら32人の生涯を描く『ローマ帝国 人物列伝』本村凌二著
[レビュアー] 産経新聞社
「ローマの歴史にはクーデターも独裁も革命もあり、君主政も共和政も貴族政もポピュリズムもある。なんでもありなのだ」。そう書く著者は早稲田大特任教授で、本邦古代ローマ研究の第一人者。
紀元前753年の建国から476年の西ローマ帝国滅亡までの長い歴史を、起承転結と終末期の5つに分け、各時代で活躍した賢帝や愚帝、名医や宗教家ら32人の生涯を通じて描き出す。救国の英雄となるも金銭スキャンダルで失脚した名将スキピオ、民衆迎合の末に乱脈政治で自滅した皇帝ネロ…。それぞれの人生には、現代にも通じる教訓が詰まっている。(祥伝社新書・840円+税)