部下に「ムダな残業」をさせない方法――「ウルトラマン」から「のび太」まで!? タイプ別対処法

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[注意点と対処法]

理想的に思えるこのタイプにも注意すべき点があります。「使える」存在であるために、少々残業が多くても会社が黙認してしまうのです。

特に、管理能力が不足する上司の下では便利屋と化し、せっかくの能力も「宝の持ち腐れ」になってしまいます。

こうした状況が続くと、健康を害するか、人によっては会社を去る選択をすることになるでしょう。

ウルトラマンタイプの労働時間を削減するには、誰にでもできる仕事をこの人材から引き離すべきです。そのうえで、組織全体の利益のために、いま以上に価値のある仕事をより短時間で行うべきだ、と自覚させるのです。

つまり会社や上司は、ウルトラマンタイプには十分に目配りをして、比較的簡単な仕事は他の人に振り、彼が、より大きな成果が期待できる仕事に時間を使えるように調整することが必要なのです。

②石川五ヱ門タイプ=仕事の精度が高い×時間が長い

[特徴]

・ルパン三世の仲間である石川五ヱ門のように、マイペースで美意識が高い。

・仕事の能力は高水準だが、「いい仕事」を仕上げることに集中するため、かかる時間は問題にしない。よって多くの仕事はこなせない。

[注意点と対処法]

五ヱ門タイプの手がけた仕事の精度は高いため、「じつは生産性が低い」という課題が表面化しにくいところに注意が必要です。

労働時間の短縮のためには、まず、「いい仕事をするが時間がかかりすぎている」ことを自覚させることが欠かせません。そして、1つの仕事にかかる時間を意識させ、最短で仕上げる目標をもたせて、それをクリアさせます。

③サザエさんタイプ=仕事の精度が低い×時間が短い

[特徴]

・サザエさんのようにそそっかしく失敗も多いが、一生懸命な姿勢がベースにあるため組織のなかでの生存率は意外に高い。

・要領がよく、一見すると「できる人」だが、仕事にはヌケやモレが多いため、完成までに時間がかかる。

・ケアレスミスが多いため、定期的に上司や顧客からカミナリを落とされる。

[注意点と対処法]

じつは、世の中に比較的多いこのサザエさんタイプが、会社にとって一番やっかいです。なぜなら、このタイプの不注意を原因とする失敗が周囲の社員を巻き込み、組織的にムダな労働を増やしてしまうことが多いからです。

さらにこのタイプは、「悩まない、考えない、省みない」と三拍子揃っていることが多いため経験値が積み上がりにくく、その結果、同じ失敗を繰り返します。ただし一生懸命で憎めないので、「アイツだから仕方ないか」と大目に見られてしまうのです。

だからといってこのタイプを放っておけば組織の生産性に悪影響を及ぼします。まずは一つひとつの仕事を振り返らせて、精度を上げるためには何が必要かを考え させましょう。そうして精度が改善されれば、もともと長時間働くことをよしとしないタイプなので、労働時間は短縮されるはずです。

④のび太くんタイプ=仕事の精度が低い×時間が長い

[特徴]

・何か問題が起きれば常にドラえもん的存在に助けを求める。自力では成果を出すことができない。

・依存心が強い。

[注意点と対処法]

「ドラえもん」の相棒であるのび太くんタイプは、実際にはそれほど多くいませんが、もしあなたの部下にこういう人材がいたとしたら、どう対処すべきでしょうか。

この場合は、上司であるあなたが彼の依存気質を矯正する以外にありません。粘り強く働きかけて行動を修正し、それが習慣になるまで待ちましょう。

具体的には、第一の目標として「一定時間内に仕事を仕上げること」を設定しましょう。目標を達成するための過程を自ら考えさせ、体験させるのです。

この際、仕事の精度は考えないでおきます。まずは時間短縮を意識させましょう。

管理業務、業務プロセスもチェック

ここまで「4つのタイプ別・部下の労働時間短縮法」を見てきました。

これに加えて忘れてはならないのは、管理者たるあなたの業務の生産性チェックです。管理業務は往々にして「管理すること」自体が目的化して、無用な報告書などの増加を招き、知らないうちに長時間かつ高コストな構造になっていきます。この点には常に注意が必要です。

以上のような、個人の仕事のやり方の改善とあわせて、業務プロセスや社内情報システム、労働時間制度の見直しを行い、「残業体質」からの脱却を目指しましょう。

求人を出せば応募者が集まる時代は終わり、今後は人材採用が困難な時代になっていくのは確実です。「過重労働」のない、健康的で生産性の高い職場が求められています。

日本実業出版社
2016年6月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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