《芸術音楽と呼ばれている世界には、素直な感動を阻むような考え方が広く流布している》と感じた映画「ゴジラ」の音楽で知られる作曲家が、《どのような人にも、音楽を鑑賞し得る素地というものがある》との見地に立って書いたクラシック音楽への招待状である。
ここには聴覚こそ最も原始的な感覚であり、本能を揺さぶるリズムが音楽の本質であると考え実践してきた著者の音楽観が貫かれている。北大農学部の出身で、作家性と大衆性、芸術性と商業性を超越してあらゆる可能性に挑戦してきた作曲家ならではの著作だ。(角川ソフィア文庫・760円+税)
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2016年7月3日 掲載
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