新川優愛「今の自分でいいんだと思わせてくれる作品」芥川賞を受賞した『コンビニ人間』を薦める

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 7月23日放送のTBS「王様のブランチ」のブックコーナーに、『海の見える理髪店』(集英社)で第155回直木賞を受賞した荻原浩さん(60)と、『コンビニ人間』(文藝春秋)で芥川賞を受賞した村田沙耶香さん(36)が出演した。

■切ない家族の日々を描いた

 直木賞を受賞した荻原さんの『海の見える理髪店』は価値観を押しつける母に反発して家を出た娘が16年ぶりに病気になった母と再会する話や、娘を中学生で亡くし、悲しみにくれる日々を過ごしてきた夫婦が娘に代わり成人式に替え玉出席するため奮闘する話など、はかなくも切ない家族の日々を描いた短編集。

 番組に出演した荻原さんは「必ずしも家族はいいことばかりじゃない。でもギクシャクとかちょっとした争いも含めて家族という関係はいろんな意味を持つと思う。親との確執がバネになって新しい事に踏み出す人もいるだろうし、子離れして初めて自分も独り立ちできる親もいるかもしれない」と同作にこめた思いを語った。

■「普通」とは何か

 芥川賞を受賞した村田さんはあえて専業作家とならず、コンビニでアルバイトを続けているという異色の小説家。斬新で衝撃的な世界観をもつ作品で知られている。『コンビニ人間』ではコンビニという舞台を通して「普通」とは何かを綴った。

「コンビニってヘンテコな場所だなと思って」と語る村田さん。今作を書くまではそのおかしさに気がつかなかったという。社会の普通に振り回される人物をユーモラスに描く今作には人間の可愛さや面白さが描かれている。村田さんは人間のおかしみを慈しむように笑ってみたかったと語る。普通に生きられない人たちの苦悩を優しい笑いで包んでくれる一作となっている。

■「普通」でなくてもよい

 MCの新川優愛さん(22)は村田さんの今作は、前作『消滅世界』(河出書房新社)とは書いてる人が違うんじゃないというくらい雰囲気が違ったと語った。そして「現代は大多数の人が通っていない道を通る事に対して『当たり』が強く、自分と違う意見の人にノーと言ってしまう風潮が強い。この作品を読むとどちらが正しいではなく、色々な意見を持っていいんだと、今の自分でいいんだよ思わせてくれる作品」だと共感をあらわしていた。

 また話題の実用書をとりあげる「ハウツーブックン」のコーナーでは、『ウィルパワーダイエット ダイエットという自分との心理戦に勝つ方法』(マガジンハウス)を上梓したメンタリストのDaiGoさんが登場し、ダイエットの続け方を指導した。

王様のブランチ」はTBSにて毎週土曜日9:30から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年7月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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