小説家・村山由佳 モラハラ夫を前に包丁を眺めながら思う「これで刺したら黙るんだわ」

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 大竹まことさん(67)が司会を務める文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」のコーナー「大竹メインディッシュ」に7月26日、小説家の村山由佳さん(52)が出演した。村山さんの小説家としての覚悟が語られ、大竹さんも驚愕の放送となった。

■大切なものを守るため、モラハラ夫を……

 同日に新刊『La Vie en Rose ラヴィアンローズ』(集英社)を上梓した村山さん。同作は夫と2人、幸せな生活をおくっていると思っていた妻が、モラルハラスメントを受けていたことに気づき、夫の抑圧から逃げようとする。しかし別の男性と恋に落ちてしまい、そのことが夫にばれてしまう。そして妻は夫を……。二度と戻れない道に踏み出してしまう。

■これで刺したら黙るんだわ

 小説の中に妻が夫からモラハラを受けている最中、綺麗に片付いた幸せなキッチンに並ぶ包丁を目にし「これで刺したらこの人黙るんだわ」と思うシーンがある。番組で村山さんはそのシーンを「かつて私自身が抱いたことのあるもので」と笑いながら衝撃の告白。

 その話を編集者にしたところ、それだけで小説の核になると言われ、小説にすることを勧められたという。番組火曜日パートナーの漫画家の倉田真由美さん(45)は「世界で一番大切な配偶者が、世界で一番死んでほしい人になることってわりとよくありますからね」と村山さんと離婚経験者同士笑いあった。

■「普通の生活の幸せは、物書きにとっての不幸」

 そして小説家はありがたい職業だと思う、とも語る。普通だったら心のなかにわだかまりとして残しておかなければいけないことも小説の題材になるという。また「普通の生活の幸せは、物書きにとっての不幸」とも言い切り、不幸がたくさんあったほうが書くことがたくさんある、と開き直った。

■小説家の覚悟

 また「本当に馬鹿なことだとわかっているんですけれど」と話題となった刺青についても触れた。村山さんは青春小説を書いていたころ、人を傷つけるようなものは書かなければいいと思っていたという。しかしあるときを境に「この一行を書いたら誰かを傷つけてしまうけれど、この作品は凄味を増すと思ったら、書かずにいられない自分を見つけてしまった」と心境の変化を明かす。

 そして「綺麗事なんて言ってられない。自分で傷つくことがあっても、とにかく作品なんだと思ってしまった。小説家なんて人でなしろくでなしの仕事なんだと、ついつい優等生ぶってしまう自分に刻みつけなくちゃと思いこんでしまった」と壮絶な覚悟のうえの刺青だったことを告白した。

大竹まこと ゴールデンラジオ!」は文化放送にて月曜から金曜午後1時から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年7月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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