【児童書】『とらねことらたとなつのうみ』あまんきみこ作、広瀬弦絵 絵の中の大海原で大冒険
[レビュアー] 服部素子
好奇心いっぱいの猫「とらた」と、絵を描くのが大好きな「チイばあちゃん」が、奇想天外な冒険を繰り広げる「とらねことらた」シリーズの第2弾。
今回のテーマは、海。海に行ったことがないとらたのために、チイばあちゃんがクレヨンで海と船の絵を描くと、あら不思議! ふたりは絵の中に入ってしまい、大海原を航海することに。船の上で、「うみの うえだよ すずしいな。 なつは やっぱり うみが いい。」とはしゃぐとらたにあきれながら、チイばあちゃんも「すずしいねえ」とご満悦。そんなふたりが、どうやって海から家に戻ったのか? それは、読んでのお楽しみ
「車のいろは空のいろ」や「ちいちゃんのかげおくり」など、子供たちの心にやさしく語りかける作品が多いあまんさんの童話の中で、ちょっぴり異色の元気すぎる主人公とらた。その弾けたかわいさを、広瀬弦さんの大胆な絵が生き生きと伝える。パステル調の色彩で表現された海が、とても涼しげだ。(PHP研究所・1300円+税)
服部素子