【手帖】「岡田英弘著作集」が完結

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 平成25年6月に刊行が始まった「岡田英弘著作集」(藤原書店)が今年6月、第8巻『世界的ユーラシア研究の六十年』をもって完結した。第8巻以外のラインアップは以下の通り。(1)『歴史とは何か』(2)『世界史とは何か』(3)『日本とは何か』(4)『シナ(チャイナ)とは何か』(5)『現代中国の見方』(6)『東アジア史の実像』(7)『歴史家のまなざし

 第8巻は、著者が最初の論考を世に問うてから85歳の今日にいたる六十余年に、参加した国内外の学会報告44編や専門分野の学界動向、外国人学者の紹介などを掲載した687ページにおよぶ大著で、このような学会報告集が著作集に編まれることは前代未聞という。

 東京大学東洋史学科を卒業した岡田氏は、26歳のときに清朝初期の満洲語文献の日本語訳注で学士院賞を受賞、その後フルブライト奨学金によりアメリカにおいてモンゴル語とチベット学を学んだ。そのおかげで中国だけでなく日本をも、外側から突き放して見ることとなった。

 岡田氏の一般向け著作では、ヘロドトスに始まる地中海文明の歴史観と、司馬遷から始まる中国文明の歴史観はまったく別物であると述べた『歴史とはなにか』(文春新書)がロングセラーとなっているほか、世界史はモンゴル帝国とともに始まったと説いた『世界史の誕生』(ちくま文庫)は、台湾で刊行された中国語訳を習近平側近の王岐山が読んで褒めたために、昨年来、中国のネットにおいて「岡田英弘って誰?」と評判になり、中国の出版社から藤原書店に中国語訳出版の契約が申し込まれているという。

 国境にとらわれることなく真理を追究してきた岡田史学に、ようやく現実が追いついてきた。本著作集の文章はいずれも平易。専門家でなくとも、そのユニークで説得力のある歴史観に触れることが可能だ。

産経新聞
2016年8月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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