女優の杏 死を前にした佐野洋子の言葉に感心

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。8月21日の放送では絵本作家の潔い死生観が描かれた一冊と、複雑な中東情勢が根源から理解できるようになる解説書が取り上げられた。

■『100万回生きたねこ』の佐野洋子が死を前に……

 この日杏さんは「キレッキレばあちゃん!」と2010年に亡くなった絵本作家、佐野洋子さんの『死ぬ気まんまん』(光文社)を紹介した。同書はがんで余命2年と宣告された佐野さんのエッセー集。宣告を受けた佐野さんは死ぬのは怖くないと語り、煙草もやめず、ジャガーを購入し乗り回す。佐野さんは自身ががん患者であるだけに、飾らない直接的な言葉で、死を前にした心境を述べている。宣告の2年後には医者に向かい「まだ死なないんですか?」と問いかける。また神経科医とお互いの死生観を語る対談も収められている。

 杏さんは「70代の女性でこんなにアクティブ」と驚きながらも、「自分がこの状況になってもこの言葉は言えないだろうな」と佐野さんの潔い姿勢に感心をしていた。

■複雑な中東情勢がすっと理解できる

 大倉さんは「ISISという得体のしれない集団を知るために紀元前3000年まで遡ろう」と『オリエント世界はなぜ崩壊したか: 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智』宮田律[著](新潮社)を紹介した。宗教や民族、領土問題などが絡み合う複雑な中東情勢も、歴史を紐とくことで根源から理解できる。文化的に豊かで寛容であったオリエント世界がなぜこのような状況になってしまったのか、頭の整理に最適な一冊。

 大倉さんは同書を「モヤモヤした頭を綺麗にシャンプーしてくれるような本」と評する。「堅い表紙だがすごく読みやすい」と推し、杏さんの「現在の状況を理解していない人でも大丈夫ですか?」との問いにも「むしろそういう人に向けて書いてある」と絶賛。

 アッシリア、アケメネス朝ペルシア、マケドニア、パルティア、ササン朝ペルシャなど、名前は聞いたことはあるもののいつの時代にどこにあったのか、なかなかわからない人が多いはず。大倉さんは「これを読むとすごくうまくまとめてあるのですっと入ってくる」と著者の手腕を評した。文化的に豊かで寛容であったオリエント世界がなぜこのような状況になってしまったのか、頭の整理に最適な一冊だと大倉さんは薦めた。

 また3週連続のゲストで今週初登場のモデル・タレントのラブリさんは『グレープフルーツ・ジュース』オノ・ヨーコ[著](講談社)を紹介。また三省堂書店の内田剛さんが『能町みね子の純喫茶探訪 きまぐれミルクセ~キ 』能町みね子[著](オレンジページ)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。来週は「去りゆく夏と青春小説」の特集。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年8月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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