『路上のジャズ』
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『路上のジャズ』中上健次著
[レビュアー] 産経新聞社
中上健次のジャズと青春をめぐるエッセーを独自に編集したものだ。『破壊せよ、とアイラーは言った』も収録されている。
昭和40年、18歳の中上は和歌山県から上京する。新宿の「ジャズ・ヴィレッヂ」なるジャズ喫茶に毎日のように入り浸り、5年間ジャズをシャワーのように浴びながら過ごした。「ジャズの自由、コルトレーンの自由、いや発語する者の自由とは、切っても血が出る自由なのである」と覚悟を決めた中上は、騒乱の時代をタフに生きてゆく。1960年代、新宿、ジャズ、という言葉にひっかかりを覚える者にとって興味深い一冊だ。(中公文庫・900円+税)