【手帖】大人も生き方を考えさせられる絵本

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 東京都狛江市の「小さい書房」-。大人が1人で読んでも、子供と一緒に読んでもいい絵本作りを続けている。同書房は元TBS記者の安永則子さん(44)が平成25年に立ち上げた“ひとり出版社”で、生き方を考えさせられるメッセージ性の強い作品が話題だ。

 26年に出版した2冊目の絵本『二番目の悪者』は今年、八王子市教育委員会学校司書による「夏のおすすめ図書」になった。小学高学年以上が対象。美しい金色のたてがみを持つライオンが自分こそが次代の王にふさわしいと、ライバルの銀色のたてがみを持つライオンの悪評を振りまく。銀のライオンは苦笑するだけで何も反論しない。当初、多くの動物はその嘘を信じなかったが、いつしか悪評は本当のことに。金色のライオンが王に選ばれた結果、国が荒廃するという結末だ。帯にある惹句(じゃっく)は「考えない、行動しない、という罪」。現実社会に当てはまりそうな内容にドキリとさせられる。

 3冊目の『歩くはやさで』は、スマートフォンなどにより、求める情報をいつでも得られるようになった社会に疑問を投げかける内容。バスを待ちながらスマホを見続ければ、空をぼんやり眺める時間が奪われる。大勢がいる食卓でスマホを見ていたら、目の前の人と知り合う機会を失う。今の社会を端的にシンプルな絵柄で伝える。スマホ依存症になりがちな高校生らにぜひ読ませたい作品。安永さんの元には20代の読者からの反響が多いという。

 安永さんは10年前、第1子の育児休業中に絵本の良さに気付いた。「時間がなくても、絵本はすっと物語の世界に浸れ、強い印象を残す。絵本というより絵のある本。小説とは別個の読み物として魅力がある。絵本を読まない人にも読んでほしい」と話している。

 村島有紀

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産経新聞
2016年9月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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