稲垣吾郎も納得 新国立競技場を手がける隈研吾が“火中の栗”を拾った理由

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 SMAPの稲垣吾郎さん(42)が司会を務める読書バラエティー「ゴロウ・デラックス」に9月16日、建築家の隈研吾さん(62)が出演した。2020年東京オリンピックに向けて隈さんが手がける新国立競技場に対する熱い思いが語られた。

■再コンペに挑戦

 その日の課題図書は隈さんの著書『なぜぼくが新国立競技場をつくるのか』(日経BP社)。昨年夏、新国立競技場のザハ・ハディド案が白紙撤回となり、再コンペの結果隈さんのプランが選ばれた。同書は隈さんがあえて“火中の栗”を拾った理由を語った一冊。茂木健一郎氏との対談も収められている。

■火中の栗を拾った理由

 番組は隈さんの事務所で収録された。東京タワーや六本木ヒルズが一望できるビルのテラスに作られたガラス張りの素敵なオフィスに稲垣さんは「すごい気持ちいいじゃないですか、ここ」と興奮気味。そしてブラジルのリオ五輪から帰って来たばかりの隈さんが、どのような気持で新国立競技場に取り組んでいるのかが語られた。

 エンブレムの問題以来何をしても、色々な意見が隈さんの元に寄せられるという。それに対し「そういう時代なんだと思う、ネット社会って」と現代の風潮に理解をあらわす。そしてそのような状況のなか“火中の栗”を拾った理由は「それでもオリンピックは拾うに値する栗だと思った」と語る。そして「その栗を拾って、外苑の森に良い環境を残せたら、何十年何百年経ってあのときやってくれてよかった、気にしてよかったと思ってくれるような物をつくりたいと思って挑戦した」と理由を明かすと、稲垣さんはその真摯な覚悟に大いに頷いていた。

■四つのポイント

 そして隈さんの新国立競技場案の四つのポイントが解説された。一つめは出来るだけ高さを低くしたこと。前の国立競技場は照明塔の上で60メートルもあった。ザハ案は75メートル。隈さんの案では49メートルに抑えている。その理由を「神宮の森に調和して溶けるようなものを作りたかった」と解説した。

 二つ目は客席を3段式にしたこと。3段にすることで臨場感が増し、お客さんが上る高さも軽減されたという。歌舞伎座の建て替えを手掛けたときの経験をもとに、観客席の快適性を追求したつくりになっていると明かした。

■コンクリートから木の時代へ

 三つ目は素材に木を使用したこと。隈さんは「コンクリートの時代」を「木の時代」に変えることが使命だと思い始めている、と同書の中で述べている。新国立競技場が人々が集い愛されるものになるため、日本の様々な木材を適材適所で使った「木のスタジアム」になると解説された。隈さんは以前から木材を使った建築で有名。番組でも稲垣さんが隈さんの手がけた南青山のパイナップルケーキ店「サニーヒルズ」を「稲垣吾郎の建もの探訪」と称し訪れた。

 最後のポイントは緻密な計算で造った屋根。使われる芝生は全て自然の芝。そのためまんべんなく光があたるように太陽の方位を計算し、屋根に「空き」が設けてある。

 番組最後には稲垣さんと隈さんと番組アシスタントの外山惠理アナウンサー(40)が新国立競技場の建設予定地を訪れ「建ったらまた一緒に訪れたいですね」と語りあった。

ゴロウ・デラックス」はTBSにて毎週木曜日深夜0:58から放送中。来週のゲストは映画監督・小説家の西川美和さん。

BookBang編集部

Book Bang編集部
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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