谷原章介「ひとごととは思えなかった」我が子に手をあげた母親を描いたミステリーに共感

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 9月24日放送のTBS「王様のブランチ」のブックコーナーに小説家の椰月美智子さんが出演した。椰月さんの新刊『明日の食卓』(KADOKAWA)がとりあげられ、子育てにまつわる光と闇を描いた一作に、番組MCの谷原章介さん(44)が共感をあらわした。

■息子に手をあげたのは誰か?

『明日の食卓』は子育てをテーマに、どの家庭でも起こり得る家族の光と闇を描いたミステリー作品。物語は一人の母親が息子ユウに手をあげるシーンからはじまる。そして静岡、神奈川、大阪に住むまったく別の3人の母親が登場する。彼女たちの共通点は皆小学3年生のユウという息子を持っていること。果たして彼女たちのなかで誰が息子に手をあげたのか? リアルな子育ての苦悩が描かれた一冊。

■幸せな生活が些細なきっかけで崩れる

 番組に登場した椰月さんはリアルな心情を描くため、日ごろから公園で他の家庭の様子を観察しているという。子どもや家族の心理描写に定評のある椰月さんは自身も2人の子供を持つ母親。自身の子育てや他の家庭の自然な会話からもイメージを膨らませ今作を書いたと解説された。

 今作に登場する3人の母親はいずれも息子を愛し幸せな生活を送っている。しかし椰月さんは「ひとつ崩れたらどんどん崩れていく。その怖さと私たちはいると思って書き進めた」と語り、些細なことがきっかけで徐々に生活が崩れていく恐ろしい展開を明かした。

■手をあげてしまう現実

 また椰月さん自身の子育てに対する思いや経験も反映されており、「すごく大好きだという思いと、本当にムカつくという思い。振り幅がすごく大きい毎日」と自身の子育てを振りかえった。また虐待のニュースをみるとやりきれない思いがあるものの、自分を振りかえると、自分も子どもに手をあげてしまったことがあると告白する。それは周りのお母さんも同じで「暴力を肯定するわけではないが、感情的になって手をあげてしまう、どうしようもない現実を書きたかった」と今作に込めた思いを語った。

 また椰月さんは「最後には希望を書きたい。人々の暮らしを肯定する物語を書いていきたい」と語り、物語の最後には希望が描かれていると明かした。

■ひとごとだとは思えなかった

 番組MCの谷原章介さん(44)は「社会はオープンなようで、家族はそのなかだけでわかる閉ざされた空間。僕も親として共感する部分もあれば目を背けたくなる部分もある」と語り、物語に出てくるひどいセリフを「僕この言葉を吐いたことがあるかもしれない」と明かした。

 しかし、そのような事態になっても、ひどいことにならないように話しあい、その度に家族としての絆が深まるとも語り「今も戦っている家庭の方もいらっしゃると思う。僕はひとごとだとは思えなかった」と同書のリアルな描写に唸った。

王様のブランチ」はTBSにて毎週土曜日9:30から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年9月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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